【高校情報科のアップデート(5)】「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の内容

鹿野利春 京都精華大学教授

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 2015年8月に出された「論点整理」では、高校生全員が後に「情報Ⅰ」と呼ばれる科目を学ぶことと、選択科目として後に「情報Ⅱ」と呼ばれる科目を設置することが決まっていたが、内容の詳細は今後の議論を待つことになっていた。

 情報ワーキングで、新しい情報科の「たたき台案」が示されたのは、16年1月に行われた第4回の会合である。「たたき台案」では、仮称ながらも、「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」という科目名が示され、それぞれ項目名と簡単な説明も記載されている。情報科は、科目の統合、新規設置を伴う大きな内容変更を行うので、早い段階でそれを示して議論する必要があった。

 「情報Ⅰ」の項目は、「(1)コンピュータと情報通信ネットワーク」「(2)問題解決の考え方と方法」「(3)問題解決コンピュータの活用」「(4)情報社会の発展と情報モラル」である。「社会と情報」と「情報の科学」の2科目を統合するということもあり、項目名も内容もまだこなれていない感じがする。一方、「情報Ⅱ」は、「(1)情報システムの活用」「(2)データサイエンス」「(3)情報デザイン」「(4)課題研究」である。新しい情報科の内容をより色濃く示しているのは、この段階では「情報Ⅱ」の方であった。

 実は、この段階でここまで詳細に科目名や内容を公開している教科は他になかった。いったん公開すると変更が難しくなること、さまざまな学会から多様な意見が寄せられることなどが原因と考えられる。一方で情報科は、できるだけオープンな議論を行い、学会や産業界からの意見も入れてより良いものを作り上げていくという考えであった。実際に出来上がった学習指導要領では、「情報Ⅰ」の項目名は全くといってよいほど異なるものになっており、「情報Ⅱ」に至っては項目の数まで異なっている。

 当時、ほとんどの共通教科の担当は教育課程課であったが、情報科と中学校の技術・家庭科技術分野は、別の課にある情報教育振興室の担当であった。他の教科では、考えられないような大幅な内容変更は、03年に設置された歴史の浅い教科であること、改訂のたびに科目数も科目名も変わってきたこと、このような組織構造がベースにあったことが深く関係している。当時のことを思い返すと、私も文科省の職員も、前例にとらわれず最高のものをつくろうという意欲にあふれていたように思う。

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