【コロナ禍の学校を支えるアンガーマネジメント(3)】コロナ禍の学校に、なぜアンガーマネジメントが必要か

川上淳子 Edu Support Office代表

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 長引くコロナ禍、先行きが見えない不安や子供たちの荒れ、保護者からのご意見などを受け、先生方は心身の不調を感じていませんか。どこにぶつけていいのか分からない怒りって何なのかと、焦燥感が募っていませんか。誰だってイライラから脱し、すがすがしい気持ちで過ごしたいもの。そのためには怒りという感情そのものについて理解することが大事です。

 怒りは人間にとって自然な感情。怒りのない人はいないし、なくすこともできません。怒りには機能・役割があり、自分が大事にしているものを守るための「防衛感情」です。その正体は、自分が理想としている「べき」という言葉です。例えば、「学校再開の日程は明確にすべき」という理想を持っていれば、未知の新興感染症により判断が遅れているという現実があると、そのギャップに対して怒りを感じるのです。

 アンガーマネジメントでは、怒る理由を自分以外の「誰か」や「出来事」と考えていません。怒りの裏にある自分の「べき」を知ることで、いつどこでどんなふうに怒るかも分かってきます。理解しているからこそ対処ができるのです。

怒りが生まれるメカニズム

 たとえ「べき」が裏切られたとしても、非常に怒るときとそうでもない、あまり気にならないときがありませんか。怒りはメカニズムがあって生まれます。ライターを模して説明できます(図参照)。炎が怒り、着火石を回し火花を散らすのは「べき」が裏切られたとき、ガスとなるのはマイナスな感情・状態です。怒りの大きさはマイナスの感情・状態をどれぐらい抱えているかに影響を受けます。怒りを感じたとき、悲しい、寂しいといったマイナスの感情がないか、寝不足、疲れた、空腹といったマイナスの状態がないかを顧みてください。青空を見上げる、ストレッチで気分転換をする、寝不足なら眠るという健康的な行動を選び取ることがガスを減らし、怒りを小さくすることにつながります。このようにアンガーマネジメントは誰でも取り組むことができる再現可能な手法です。

 コロナ禍の学校で、先生方がストレスなく心身共に健康な状態で教壇に立つことが、子供や保護者に対する一番の応援となります。保護者の状況は担任には言えないほど切迫し、子供たちの状態に気付く余裕すらないものと考えられるからです。先生方が怒りの仕組みを知り、子供たちの心や体の状態に目を向ける言葉掛けができれば、子供たちから大きな信頼を得ることができます。自分の状態に気付いてくれる先生の言葉を待っている子供たちは、きっと多いことでしょう。

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