【ヤングケアラーの子どもたち(5)】親や祖父母のケアを担う子どもたち

田中 悠美子 立教大学助教・日本ケアラー連盟理事

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 今回は、国が中高生を対象に行ったヤングケアラー実態調査の結果の中から、世話を必要としている親や祖父母の状況に焦点を当てていきたいと思います。

 まず、「父母」の状況については、身体障がいや精神疾患・依存症のある場合が多い傾向にあります。また、精神疾患・依存症以外の病気として考えられるのは、がん、難病など慢性的な病気です。そして、ケアの内容については、「家事(食事の準備や掃除、洗濯)」が7割程となっており、次いで「外出の付き添い」「見守り」「感情面のサポート」「身体的な介護」の順になっています。

 次に、「祖父母」の状況については、要介護認定を受けている方へのケアの割合が高まります。そして、認知症の症状があり、身体障がいを伴っていることもあります。ケアの内容については、「見守り」が5割程となっており、次いで「家事(食事の準備や掃除、洗濯)」「外出の付き添い」「感情面のサポート」の順になっています。認知症の祖父母をケアしている場合に、主たるケアラーは父母という場合もありますが、その父母の不在のときは危険がないように子どもが見守りをしていることがあります。症状によっては意思疎通が難しくなり、精神的なストレスが強くなってしまうことが考えられます。

 このように身体的な症状があるのか、精神的な症状があるのかによって、ケア内容が変わってきます。特に精神疾患がある場合に、家事をしながら、愚痴を聞いたり話し相手になったりして感情面のサポートをしていることが想定されます。以下、精神疾患のある母をケアしているケースをご紹介します。

 あるひとり親家庭の母には精神疾患があり、ひどく落ち込んだり不安定になったりして、一人っ子のお子さんが服薬の介助や励ましなど感情面のサポート、家事を担っています。ホームヘルパーによる家事援助の導入を試みましたが、母は外部からのサポートに拒否的で、ヘルパーが帰った後に不調が倍増し、その対応を子どもがすることになってしまいました。お子さんは「ケア負担が増えてしまうから、ヘルパーはいらない」という気持ちになってしまいました。

 見守りや感情面のサポートは大きな緊張感を伴い、気疲れをするものです。学校にいても、家にいる家族が気になって授業に集中できない場合もあります。しかも、可視化、数値化が難しく、その度合いを把握することは、本人も周囲の人も容易ではありません。本人がどんな気持ちなのか、主観的な負担感や疲労感を丁寧に確認しながら、声掛けをしていく必要があると思います。学校内あるいは地域の支援機関と協力しながら、慎重な対応が求められます。 

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