【高校情報科のアップデート(6)】学習指導要領の作成

鹿野利春 京都精華大学教授

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 「論点整理」で各教科等の方向性を出し、情報ワーキンググループの前半で小・中・高校で育む情報に関する資質・能力について議論し、発達段階ごとにこれを整理した。情報科は、高校段階での情報活用能力育成の要となる教科として、その内容を定め、これを学習指導要領としてまとめることになる。

 このようなやり方は、特に情報活用能力の育成や、情報科の内容を定めるには適していたように思う。小・中・高校全体の内容を俯瞰的に見る中で、高校の情報科が担当すべきところがはっきりしてきたからである。

 例えば、情報デザインは、小学校の低学年の国語で「順序正しく伝える」などの論理的なデザインの基礎を習得し、図画工作で目的に応じたデザインを考える。中学校の技術・家庭科技術分野では、それが「設計」という形になり、「情報Ⅰ」で情報デザインの考え方を理解し、「情報Ⅱ」ではその考え方を踏まえてコンテンツを作成するといった形である。なお、美術科の「デザイン」も目的や条件を考えて行うものであるが、主題の生成や美しさなど、美術科に特有のものがあり、「情報デザイン」と明示的に連携する形にはしなかった。

 今回の学習指導要領の改訂のポイントとして、算数・数学で統計教育を強化したことが挙げられる。統計指標の幾つかは小学校でも扱うようになり、四分位数なども中学校で習うようになった。高校で「情報Ⅰ」と「数学Ⅰ」が「データの活用」について連携し、「情報Ⅱ」と「数学B」が「データサイエンス」について連携するのは、統計教育の強化の流れから考えて必然であったと思う。情報科と数学科の連携については、お互いに連携すべき項目や内容を詳しく記載した。学習指導要領を資質・能力で記載することで、連携すべき箇所の見通しが良くなったおかげである。また、プログラミングなどについても、小学校からの積み上げがあって、高校で全員に学習させることができるようになったと考えている。情報モラルや法規等については、公共との連携を図ることになった。

 情報科の学習指導要領を作成するにあたって、有識者に協力を依頼することになるのだが、これがベストという人選を行って依頼したところ、ただの一人にも断られなかった。それだけ関心が高く、重要と思われている証左であり、身の引き締まる思いがした。

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