【高校情報科のアップデート(7)】学習指導要領解説の作成

鹿野利春 京都精華大学教授

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 学習指導要領は、教科等の目標や大まかな教育内容を定めたものである。該当教科の内容および方法について順守すべき基準を示すものであり、法的拘束力がある。一方、学習指導要領解説には、法的拘束力がない。教科書検定においても、検定基準として取り込まれているのは学習指導要領であって、学習指導要領解説ではない。しかし、学習指導要領はあまりに大まか過ぎて内容がつかみにくいために、これを解説するものとして学習指導要領解説を作成している。

 実際のところ、情報科の学習指導要領と学習指導要領解説は同時進行で作られた。学習指導要領が基準としてのエッセンスであるとすれば、学習指導要領解説は、学習内容も含めた幅広いものである。学習指導要領解説を作成する際に、学習指導要領は何度も見直され、さらにブラッシュアップされる。他の項目との内容の重複なども、学習指導要領解説を作成して初めて分かる場合が多い。学習指導要領解説の元になる原稿は、協力を依頼した有識者が執筆するが、内容の重複や、文体、分量、他の項目とのバランス、他教科との連携などは、教科調査官が調整する。より分かりやすいもの、活用しやすいものを目指し、このような果てしない作業を継続することによって、学習指導要領と学習指導要領解説が出来上がっていく。

 学習指導要領解説を読む際は、文章の語尾に注意して読むようにすると、教科調査官の思いが伝わる。「する」「扱う」「養う」などと書かれてある部分は、「しっかり行ってください」ということであり、「触れる」と書かれてある部分は、「簡単でもいいので扱ってください」ということである。また、「考えられる」と書かれてある部分は、学習活動の例として挙げられているものが多く、必ずしもそれを行う必要はなく、代わりの学習活動で学習目標が達成できれば、それでよいということである。情報科の学習指導要領解説に書かれている学習活動は、書かれた瞬間から古くなっていくので、実際に授業を行う際にはその時点の情報技術や環境を踏まえたものにする必要がある。

 学習指導要領解説ができた段階で、全国説明会が開催される。この場には、全国の教科担当指導主事などが参加し、教科調査官から直接説明を受け、質疑応答も行う。教科担当指導主事は、所属する自治体で情報科の教員に対して同様の説明を行う。また、教科書協会などが主催する会に出掛けて学習指導要領解説についての説明を行う。このようにして学習指導要領および学習指導要領解説の内容は周知され、現場では準備が進み、教科書会社では教科書が作成されていく。

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