【コロナ禍の学校を支えるアンガーマネジメント(5)】教員のアンガーマネジメント活用~思考のコントロール~

川上淳子 Edu Support Office代表

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 今回は、思考のコントロールについて解説します。衝動のコントロール(第4回参照)で6秒待てたら、「怒ること/怒らないこと」の線引きをします。三重丸を思い浮かべてください(図参照)。①が許せるゾーン、自分の「べき」と同じ範囲。②がまぁ許せるゾーン、イラっとするが許容できる範囲。③が許せないゾーン、自分の「べき」と全く違う、許せない範囲。②と③の境界線が「怒る/怒らない」の境界線で、③に入るなら怒っても構わないのです。アンガーマネジメントで大切なのは怒らないことではなく、怒りの感情で後悔しないこと、この境界線を明確に引けるようトレーニングします。

思考のコントロール(三重丸)

 職員会議を例に考えてみましょう。「会議開始が14時」であれば何時に集合すべきでしょうか。私の場合、①は5分前、②は1分前の13:59まで、③は14時1分以降と、少しでも遅れると「許せない」と感じていました。先生方はいかがでしょうか。「開始時刻は守るべき」は同じでも、各自の「べき」には幅があり、それぞれの境界線が違うことがイライラの原因となるのです。自分の考えの構造が分かり、本当に驚きました。

 この三重丸を使って考えられるようになると、不要なイライラを減らすことができます。そのためには3つの努力をしていく必要があります。それは、②の境界線を広げる努力、②の境界線を一定にする努力、自分の「べき」の①②③を言葉にして伝える努力です。職員会議の例では「5分前に来ていなくても14時に着席していればイライラしない」「いつでも誰にでも開始時刻ちょうどまで待つ」と考えた上で、相手には「14時ちょうどまで待ちます。それ以降は遅刻です」と言葉にして伝えます。「分かっているはず」「知っていて当たり前」ではなく、言語化をしていくのです。

 これは子供たちとの生活にも当てはまります。例えば始業時刻。在職時、「始業の準備をし、教室にいるのが8時15分」と指示していました。「時間はちゃんと守りなさい」では何がちゃんとなのか、子供たちは分かりません。始業時刻の①を明確にすることで、子供たちは通学時間を逆算して登校し、外で遊んでいても全員が始業準備を終えて着席していたので、イライラすることはありませんでした。

 「学校には毎日来るべき」など、以前は当たり前だった「べき」も時代の流れとともに変化しています。コロナ禍をくぐり抜けた先では、これまでの「べき」を見直すことが多くなるかもしれません。これからは許容範囲を広げ、柔軟な思考を持つことが今まで以上に求められていくことでしょう。

 自分の「べき」を知り、相手の「べき」で許せるものは許していくと楽に生きられます。

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