【高校情報科のアップデート(8)】教員研修用教材の作成

鹿野利春 京都精華大学教授

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 学習指導要領改訂によって、高校情報科の内容は大きく変化した。「社会と情報」「情報の科学」の2科目からどちらかの科目を選んで履修するという選択必履修から、「情報Ⅰ」のみを全員が履修するという共通必履修に変わり、全員がプログラミングやネットワーク、データベースの基礎を学ぶ上に、内容も高度になった。さらに、「情報Ⅰ」の履修を前提とした、発展的な選択科目である「情報Ⅱ」も設置された。

 一方、教員の状況は、情報科のみを教える専任教員が2割、情報科と他教科の両方を教える兼任教員が5割、免許外教科担任が3割という構成であった。これらの教員が「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」を教えられるようになるためには、各自治体による教員研修が必要である。しかし、そのための教材を各自治体が作成すると、研修内容も自治体によって異なるものになるのではないかという懸念があった。

 また、大学の情報科教員養成課程の学生にも、新学習指導要領の内容を学習して、即戦力として現場に赴任してもらう必要があった。これらに対応するために、文科省として極めて異例のことだが、「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」のそれぞれについて教員研修用教材(以下、教材という)を作成し、誰でもダウンロードできるようにすることにした。

 新学習指導要領は2022年度から実施されるので、各自治体の教員研修を3年間行うと考えて逆算すると19年の春には「情報Ⅰ」の教材を用意しなければならない。スケジュールとしては、18年の3月に学習指導要領、7月に学習指導要領解説を出し、同じ年度のうちに「情報Ⅰ」の教材を作成するということになった。

 作成にあたっては、協力者に意義をご理解いただきながら全力で作成に取り組み、授業でプログラミングをやって来なかった教員にとっても分かりやすい教材を予定通りに提供することができた。この教材については、「情報Ⅰ」の教科書を作成している会社にもご説明させていただき、教科書作成の参考にもなったのではないかと考えている。

 同様に、19年度は「情報Ⅱ」の教材を作成した。コロナ禍ということもあり、19年の年度末に行われた大詰めの編集会議では章ごとに部屋を4つに分け、遠隔の参加者も含めて議論を行った。この会議で私は4つの会議室を順に回りながら、それぞれの部屋で生じた疑問点や判断が必要なことについて、決定と調整を次々に行っていった。そのような過程を経て、「情報Ⅱ」の教材も予定通り提供することができた。

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