学校からの相談事例には、児童生徒の問題行動や保護者対応での困難事例が多い。児童生徒の問題行動では▽他の児童生徒と教師に対する暴言・暴力や注意・指導をしても規律違反が減らない▽反抗的でうそが多い――など。保護者対応の相談では、▽精神上の課題や虚言、矛盾な挙動▽思考過程が不明瞭で情緒も不安定なために話し合いのらちが明かない▽学校攻撃が繰り返されて疲弊感や閉塞(へいそく)感で教員が押しつぶされそう――などである。いずれも困難な問題だが、解決に向けたモデルケースにこんな例え話がある。 注意欠陥多動性障害の疑いがある男子児童が、数人の児童らと集団下校していた際、転倒して膝を擦りむいて泣いたので同級生らが保健室に連れてきた。担任も駆け付け、養護教諭とけがの状態を確認した後問題がないと判断。児童に「男の子なのだから泣いてはいけない」と励まし、泣いている背中を「ポン」と押して帰宅させた。翌日、保護者から学校に「子供が先生にたたかれたと言っている。痛がる子供を叱りつけ無理やり帰宅させた。『体罰』『人権侵害』ではないか」「普段から担任には粗暴な振る舞いがみられると保護者から心配の声が上がっている。学校は問題を把握していたのに放置していた責任がある」と苦情が寄せられた。 校内研修でこの話をすると、多くの教員は「保護者・児童生徒対応の困難事例だ」と感想を述べた。……

上越教育大学教職大学院教授 西川純

 連載の最初に述べたように「カリキュラム・マネジメントとは何か」の正解を探すのは無駄です。正解などありません。  一人一人が自分のカリキュラム・マネジメントを想像する必要があります。私はカリキュラム・マネジメントとは、子供と教師の一生涯の幸せを保証するため、教師集団がアクティブ・ラーニングをすることであると考えています。それは答申の中にもあります。  現学習指導要領の背景になっている中教審答申にも、カリキュラム・マネジメントについて書かれています。……

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

「主体的・対話的で深い学び」の学校浸透

教職員支援機構による図書『主体的・対話的で深い学びを拓く』(学事出版、2018)を読んだ。特に機構内に設置された次世代型教育推進センターの諸論考は興味深かった。機構の前身は教員研修センターであるが、このような図書発行は初めてであろう。より啓発的な組織となったことに期待したい。 機構内センターは、何校もの実践フィールド校を抱えていて、各校のアクティブ・ラーニング(AL)の3年間の実践について、センター研修協力員(各地域の教員)がそれを観察し、テーマに応じて分析的に解説を行っているものである。 特にALは中・高校の授業実践を大きく変えるものとして影響力が大きいが、その意味では始まったばかりの授業実践の感じであった。……

元東京都立西高等学校長 石井杉生

 今まで、計画(P段階)の課題を述べてきたので、今回は実行(D段階)の課題に触れてみたい。  この実行段階の課題は、一言で言えば、ジョブアサインメントができていないということである。ジョブは仕事でアサインとは割り振るという意味。つなげれば、仕事を一人一人に割り振ることを意味する。  リクルートワークス研究所の用語解説によれば、「ジョブアサイン力は、マネジャーの部下育成スキルともいえ、どれだけストレッチした目標、役割を与えられるかで、人材の成長も組織力の向上も左右される。……

対教師暴力を振るった生徒に対する被害届を出すべきかどうか――。スクールロイヤーの下には、時にそんな相談も入り込む。通り一遍の法的アドバイスだけすれば、「被害を受けた教員が決めることができる」の言葉にとどまるであろう。 スクールロイヤーとして相談を聞く際、取っかかりになるのは、当該生徒がどうして暴力行為に及んだのか、動機を含めた背景や事情を探ることだ。 教員とカンファレンスの場も持ち、当該生徒のこれまでの学校生活の様子、友人関係、家族構成や家庭環境などを聴取する。……

上越教育大学教職大学院教授 西川純

6回の連載を通して、アクティブ・ラーニングを「どうやるの」ではなく、「なぜやるの」の視点で説明しました。視野が大きく広がったのではないかと思います。では、皆さんの同僚や部下の職員がこの視野に立てるでしょうか。 無理ですね。それでいいのです。経営学のロジャーズのイノベーター理論、ムーアのキャズム理論によれば、人は、イノベーター(2.5%)、アーリーアダプター(13.5%)、アーリーマジョリティー(34%)、レイトマジョリティー(34%)、ラガート(16%)に区別されます。 イノベーターは、新しいものにすぐに飛び付くタイプで、アーリーマジョリティーは、イノベーターが使い続けているのを確認して使い始める人です。……

元東京都立西高等学校長 石井杉生

前回、学校経営計画では「目的」と「手段」が混在しており、明確に区別されていないことを課題にした。今回は、学校のビジョンを目的と手段に区分して示した私の実践例を紹介する。 都立西高校では、長年「自主・自律」を学校の目的・目標の一つとしてきた。この自主・自律を学校の目的・目標に掲げる学校は非常に多いと思う。しかし、この自主性・自律心をどのように育てるかに言及している学校はあまり目にしない。 正直に言うと私はこの「自主」という言葉があまり好きではない。……

スクールロイヤー(SL)が学校から受ける相談は「いじめ」対応も多い。主なポイントは初期対応と組織的な対応だが、具体的な活動をみていきたい。 大阪府でSL制度が始まった時期は、いじめ防止対策推進法の施行と重なる。当初、発生した事象を学校が「いじめ」と認めないことで、被害児童と保護者が不満を抱えるという相談がよくあった。 同法第2条は「いじめ」の定義を「心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童ら等が心身の苦痛を感じているもの」とする。……

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

今年の1月、英国に孤独担当大臣が新設されたのを知っているであろうか。極右過激派に殺害された労働党のコックスの遺志をついで、メイ首相が新設したものであるが、英国では900万人がいつも孤独を感じて、中でも月に一度も友人や家族と会話していない高齢者は3割以上というデータがある。「孤独は人の肉体的、精神的健康を損なう」といい、それは肥満や1日15本の喫煙よりも有害だといわれる。経済的・社会的損失も大きいとされる。 わが国でも他人事ではなくなっている。 ところで最近、学校内における教員の孤独が強まっていないだろうか。……

上越教育大学教職大学院教授 西川純

追い詰められる教師たち
追い詰められているのは子供ばかりではありません。教師もです。 学校の教師教育の低下です。十数年前から、少子化対策として急激に採用を減らしました。ところが最近になって、少人数対策と大量退職に対応するため急激に採用を増やしています。結果として、教職員の年齢分布は、フタコブラクダのような分布になっています。 さらに、交通の便利な学校の場合は異動したがらず、結果としてベテランが多い学校になります。……

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