ザッツ・アクティブ・ラーニング 2

アクティブ・ラーニングは、次期学習指導要領での柱の1つになると、注目を集めている。それでは、アクティブ・ラーニングとは何で、これを実現するにあたって教師はどんな役割を果たすべきなのだろうか。識者に聞いた。


 

まず居心地のいい学級づくり

鹿毛雅治慶應義塾大学教授に聞いた――。

op1-2・鹿毛・ザッツアクティブ一昨年、文科相が中教審への諮問で、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習、いわゆる「アクティブ・ラーニング」が必要と表記し、一躍注目された。いわば授業改革のキャッチフレーズといえる。

新たなキーワードとなったが、ことさら新しいものではない。そもそも学校にはアクティブなラーニングを実現させていこうという動きは、草の根的にあった。

40人が一斉に主体的な学びをするのは難しい。それでも、課題に向かって子どもたち一人ひとりが、知・情・意一体となって没頭している状態が、アクティブ・ラーニングである。単に発表している、グループ学習をしているだけでは成立しない。

では、教師はどうすればいいのか。教育環境の場づくりが重要だ。子どもたちが「もっと調べたい」「わくわくしている」状況を創り出すための単元構成や教材を考えてほしい。

目の前の子どもの立場になって、授業前に、予測し、見通しを立てて資料をそろえ、単元構成を考え、指導案を作成する。授業中に子どもたちが予想外の発言をしたときには、面白いと感じ取って柔軟な対応がとれなければならない。そこでコミュニケーションが成立するのが大切だ。

ハプニングをくみ取って当初の予定を変更し、教師と子どもが一緒になってわくわくしながら授業を創りあげていく。そこに教師の醍醐味もある。

せっかくつくった指導案だからと、そこからはずれない「指導案しばり」では、アクティブ・ラーニングは成立しない。

指導案しばりを超えたところに、高い学びの質がある。予定調和を超えなければいけない。

それには、学級経営もポイントとなる。学級の風土が大事だからだ。教師がポジティブな感情で子どもを見る。子どもの人間形成という長いスパンで捉えてほしい。

アクティブ・ラーニング実現への道程は、4月の学級開きから始まっている。全ての子どもが居心地よく、互いが尊重し合える関係づくりが、授業づくりにつながり、アクティブなラーニングとなっていく。

一人ひとりの子どもが尊重されなければならない。支援が必要な子どもがいたら、その子どもが落ちつける教室環境が、全ての子どもが居心地のいい場となる。行き届いた丁寧なコミュニケーションの積み重ねが求められる。

ICT 機器も有効だ。タブレット型コンピュータで表現すれば可視化でき、プロジェクタに映し出せば共有化できる。子どもが表現した中から、「これをもっと調べてみよう」と学びを深めていける。ただし、あくまでもICT機器は手だてであって目的ではないと知っておかなければいけない。

授業研究も大切だ。可視化、共有化、焦点化をどのように創り出していくのか。教師が一堂に会して子どもの学びを深める授業について、互いに意見を交わしていく場は欠かせない。校内研究が活発な学校では、互いの授業を見る機会が頻繁にある。授業に100点満点はない。他の人に見てもらって助言を受けながら、いい授業を目指していく。

いい授業では、子どもも教師も双方が主役だ。共に学び合うことで、子どもも教師もアクティブ・ラーニングをする。共に学んで達成感を味わう。学びを共に楽しむメンタリティがあってこそ、といえる。

可視化、共有化が実現しても、難しいのは焦点化。深めどころをどこにするのか、臨機応変な対応が求められる。

教室で、子どもが教師に、また子ども同士が、聞きたい場面で聞かれ、言いたい場面で言える。そんな空間にこそ、学びの広がりと深さがある。

居心地のいい学級づくりがまずあり、そこで行われる授業がアクティブ・ラーニングになる。言うはやさしだが、かなりの力量が教師に求められる。

学校全体が居心地がよく、学級で安心して過ごせ、授業が楽しかったら、子どもたちは学校に来るのが楽しくなる。

原理は単純だが、実現は大変。そのためには授業研究、校内研修を行って、教師同士が学び合わなければならない。

また、校外の充実した研修を見にいくのも効果的だ。百聞は一見にしかず。優れた校内研に足を運び、他の学校から学ぶのは大事。教師間、学校間の学びがあってこそ、アクティブ・ラーニングは達成される。