年齢段階別に3種類 教員・保護者向けにもなる
◇注意事項を簡潔にまとめた◆
(独)日本スポーツ振興センターはこのほど、平成28年度版の熱中症教材カードを、年齢段階ごとに発行した。注意すべき事項が、簡潔にまとめられている。
幼・保・小学校低学年・教員・保護者向けの「あついな~とおもったら…~そとにでるときのおやくそく~」、 小学校中・高学年・教員・保護者向けの「熱中症を予防しよう~どうして熱中症になっちゃうの?~」、中学生・高校生向けの「熱中症は夏に多い!でも夏だけ熱中症に気をつければよいのでしょうか?」の3種類。
幼・保・小学校低学年・教師・保護者向けでは、外に出る約束ごととして、▽帽子をかぶる▽こまめに水を飲む▽涼しいところで休む――をイラスト付きで示し、気分が悪くなったら、すぐに先生や大人に知らせようと呼びかけている。小学校中・高学年向けでは、熱中症が発生するしくみを解説。外出時には、▽帽子をかぶる▽薄着になる▽疲れる前にこまめに休けいをして水分をとる▽気分が悪くなったら、すぐに先生や大人に知らせる――と呼びかる。また教員・保護者に向けては、事故事例を挙げながら熱中症が発生する状況を解説。注意すべき点と起きてしまったときの対処法を記している。
中学生・高校生向けでは、熱中症は夏だけに気を付ければよいのではない点に目を向けさせている。熱中症が起きやすい環境について述べ、部活動での事故例だけでなく、運動中以外の屋内での事故例も挙げ、注意を喚起している。
◆誰にでも発症するので正しい理解と予防を◇
同センターのサイトには、校種を問わず、いつでも使える「CAUTION CARD」の熱中症編もアップされている。注意すべき点が、事例とともに6項目掲載されている。同センターでは、熱中症はさまざまな要因から誰にでも発症し、適切な処置が遅れれば、死亡に至る場合もあるので、正しく理解し、予防してほしいと呼びかけている。
教材カードと「CAUTION CARD」は、同センターのサイト内からダウンロードできる。
注意事項を6項目に集約 CAUTION CARD 熱中症編
「CAUTION CARD」の熱中症編が注意しているのは、次の6項目。
(1)35度以上は原則運動中止
高専2年生の事例=気温が35度以上の晴天の中で野球部の練習を行っていたが、練習後に水シャワーを浴びているときに会話の様子に異常が見られ、救急搬送した。
(2)運動後に急変することも
高校1年生の事例=バレーボール部の活動中に体調が悪くなったので見学。部活動終了後、友人と一緒に下校。自転車を押しながら坂を上がったところで後ろに倒れた。
(3)屋内でも発生します
中学校2年生の事例=柔道部の活動中、準備運動、寝技、投げ込みのあと、乱取り練習を始めたところ、疲れた様子だったので休憩させた。だが、意識がぼんやりとし、右手に硬直が見られたので救急搬送。
(4)湿度が高い時も注意
高校2年生の事例=遅刻しそうになったので、30分以上自転車をこぎ、急いで登校した。到着後、気持ちが悪くなった。その日の気温は27.3度、湿度は74%だった。
(5)休み明けの激しい運動は要注意
小学校3年生の事例=夏休み明けの初日、休憩時間に鬼ごっこをしていたら、頭が痛くなり、気持ちが悪くなった。
(6)体調が悪い時は無理をしない
高校1年生の事例=午前中から体調が悪く、昼食をほとんど食べていないが、6時間目に体育で水泳。その後、教室に戻ったあと動けなくなり、体の震えや息苦しさを訴え、意識も薄れ、体温が上昇し、吐き気などの症状が出てきた。