夏休み前に「水辺の安全」 B&G財団

背浮きなど児童に指導
教員への事前研修も実施

夏休みを前に、子どもたちの水の事故を少しでも減らそう――。(公財)ブルーシー・アンド・グリーンランド財団(B&G財団)は、東京都内の小学校20校のプールで、児童を対象とした「水辺の安全教室」を6月下旬以降、順次展開している。

救助を待つ背浮きを体験する教員とサポートするB&G財団スタッフ
救助を待つ背浮きを体験する教員とサポートするB&G財団スタッフ

安全教室は「セルフレスキュー」(自助)の観点から、水難事故に直面した際に有効とされる背浮きや、着衣泳、ペットボトル浮き、ライフジャケットの着用体験などの安全学習プログラムで構成されている。

東日本大震災の津波では、小学校6年生が、以前に学んだ着衣泳体験を思い出し、浮遊物を浮力に背浮きで水が引くのを待ち、助かった事例もある。
教室が行われた翌年以降も、継続して安全学習プログラムが実施できるよう、教員が児童に教える内容についてレクチャーを受ける事前研修が行われるのも、この教室の特徴だ。

6月27日には、豊島区立高南小学校(高木庸子校長)で、7月の教室開催に備えた教員の事前学習が行われた。
はじめに同財団の指導スタッフが「水辺で活動するときにはライフジャケットを着用」「水辺には独りで行かない」「体調が悪いときは無理をしない」などの要点を押さえた。

続いて、水難事故で溺れている人がいたら、「二次災害の危険があるので、決して泳いで助けにいかない」「近くの浮くものを投げ入れる」「周りの人に助けを求め、119番する」といった基本的な対応を解説。万が一、水に落ちてしまったら、「慌てず、衣類は脱がず、背浮きの姿勢を取って呼吸を確保しながら救助を待つ」大切さを訴えた。

その後、実際にプールに入って実技を研修。背浮きの際には「体の力を抜く」「肺に大きく息を吸い込む」などの基本をレクチャー。児童を指導する際には「最初は、児童の側に立ち背中を軽く支えて補助する」といったポイントを説明しながら、高木校長も加わり背浮きの体験が始まった。

はじめは水面に浮いた姿勢でバランスを保つのが少し難しい様子。足先が沈んでしまったり、左右に揺れてしまったり、また息のつなぎにも少しのコツが必要のようだった。やがて徐々に感覚を飲み込め、安定した姿勢を保てるようになっていった。「いざというときのために、児童には一度体験させることが重要」とのスタッフの説明に、教員らは納得。

安全教室のプログラムの資料や動画は、B&G財団の公式サイト(http://www.bgf.or.jp/)で、無償で公開されている。都内以外にも各道府県のB&G海洋センターでも同教室が行われており、昨年度は、全国で小学校121校を含む442団体の6万3千人が参加した。

 

特別支援学校でも実施

7月5日には、東京都立足立特別支援学校で同教室が開催された。高校2年生27人が参加した。特別支援学校で行われるのは初めて。プールでの「カヌー体験」と併せて実施された。

少し緊張しながらも、スタッフの笑顔に誘われ、うれしそうにカヌーに乗り込んだ
少し緊張しながらも、スタッフの笑顔に誘われ、うれしそうにカヌーに乗り込んだ

同校では昨年度から着衣泳を導入しており、今年度から同プログラムを取り入れた。
初開催とあって、安全確保と生徒のセルフレスキューの意識の理解を図るため、従来よりも多い教員配置体制を整えた。

教室は、生徒らが興味を持って取り組めるのをねらい、カヌー体験から開始。カヌーの漕ぎ方や方向転換、腰をかがめ重心を低くして乗り降りするなどの注意点を教えてから、カヌー実技が行われた。

その後、生徒たちは水辺の活動の楽しさ、水辺の危険と回避方法などについて説明を受け、背浮きやライフジャケット体験などに挑戦する安全学習プログラムが展開された。

7月29日にも、東京都立葛飾ろう学校の児童を対象とした同教室を予定しており、これらの取り組みを通じて、身体や家庭環境などに左右されることなく、教育的効果が高いといわれる自然体験活動に、誰もが参加できる事業づくりに役立てたいという。