新学習指導要領に向け教科書の在り方を聞く

「主体的・対話的で深い学び」の実現目指す
梶山正司文科省教科書課長

教科書は学校教育制度の中で「主たる教材」として位置付けられ、子供たちの学習活動を支えている。新学習指導要領が告示され、教科書の充実が求められる。さらには、「特別の教科 道徳」の検定教科書が公表され、30年度からの全面実施の中で使用される。こうした中で、文科省の梶山正司教科書課長に、今後の教科書の在り方について聞いた。

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――教科書のこれまでの実績について。

教科書は主たる教材として、学びをサポートしている重要なものだ。日本の教科書は、多くの情報を分かりやすくコンパクトにまとめ、児童生徒の理解が深まるように作られている。これは、教科書会社の多大な努力があってのもの。全国津々浦々の学校で、一定の質が担保された教科書が日本の教育を支えている。特に義務教育段階では、極めて大きな意味があるので、国が無償で教科書を提供し、学校教育を支えている。

教科書の無償給与が初めて実施されたのは昭和26年頃の3年間だけで、国語と算数だけだった。財政状況などもあり、28年には廃止された。その後、37年に義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律が制定された。翌38年から教科書の無償給与制度が開始され、約50年が経つ。教科書の無償給与は当たり前と感じている人がいるかもしれないが、さまざまな状況の中で、同制度が確立したことについて改めて考える必要があるのではないだろうか。

――新学習指導要領が告示された。

これまでに蓄積された知識や技能を生かしながら、新学習指導要領に対応するのが大事だ。この中には「主体的・対話的で深い学び」の実現が大きな柱となっている。「主体的」とは、学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげるものだ。

主たる教材としての教科書では、学びに関する興味・関心が必要になっていく。知識だけではなく、社会との関係性を考える内容が盛り込まれているような教科書になってほしい。こうした視点はこれまでも盛り込まれているが、さらに充実してもらいたい。

「対話的」とは、子供同士の協働や教職員や地域の人々との対話といわれている。これに加えて、先人との対話も必要だ。何らかの形で、歴史書など多様な資料に触れてもらうのも有益だと考える。

「深い学び」とは、教科の特質に応じるという意味だ。これは極めて重要だ。各教科の「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けたり、情報を精査して考えたりと、多面的・多角的な考察が求められている。こうした点が深まるような教科書が必要だ。

――「特別の教科 道徳」(道徳科)の検定教科書が公表された。

今回初めて編集・検定された道徳科の教科書では、「考え、議論する道徳」の実現のために、多面的で多角的に考えられるよう意識されていると思う。

子供たちの興味・関心を引くようにスポーツ選手や先人の話、そしていじめについても盛り込まれている。特別の教科である道徳は、平成30年度から小学校で全面実施される。これに伴い、今回の検定教科書が使用される。