教科書の作成・供給に全力で取り組む 野澤伸平(一社)教科書協会会長に聞く

(一社)教科書協会の野澤伸平会長((株)山川出版社社長)に、教科書の作成、学校現場への供給などについて聞いた。


同協会は検定教科書を発行する教科書発行会社で組織しており、教科書発行会社が培ってきた文科省、教委、関係諸機関、学校現場との信頼関係を基盤に、教科書の質の向上のためにさまざまな事業や調査研究を進めている。

教科書の作成について同会長は、「教科書は、まず学習指導要領に沿った内容を、斯界トップの著者に執筆してもらう。そして、著者と出版社が手を合わせて教科書という書籍に完成させていく。それを最高の紙に最高の印刷技術で印刷し、最高水準の書籍として完成させる」と要点を説明する。教科書の責任は重く、常に質の向上に努力しており、特に学習指導要領の趣旨の実現については、真摯に対応している。

それに伴う課題としては、低廉な価格を挙げる。「高校においては教科の選択制により、総発行部数の減少が起こり、1冊当りの原価は年々上昇している」という。実際、教科書の定価は公共料金、学用品、週刊誌などと比較しても廉価な状態にある。各社はコスト削減に努めているが、品質の高い教科書づくりのため教科書定価の見直しも必要だろう。

作成とともに、教科書の完全供給も、そのシステムの精度は高く、世界に類のないものといってよい。

「完全供給は教科書会社の責務である。取次書店をはじめ教科書供給に携わる方々、その組織である全国教科書供給協会の力を借りて、全ての児童生徒の手に正確に渡るよう努力している」と強調する。

わが国の教育を支える最高のインフラといえるだろう。

教科書は、学校現場の教師が上手に活用してこそ、その真価を発揮する。その教師たちに、次のような言葉を贈りたいという。

「教科書は、食品に例えると冷凍食品のようなものだと思う。これを解凍し、時には甘く、また辛く味付けをして、児童生徒に合わせて、おいしく食べられるように調理できるのは、学習指導をする学校現場の先生方である。教科書会社は、先生方の意見を教科書に十分採り入れ、より使いやすい教科書に仕上げていきたいと考えている」。