「子供たちの教科書への思い」ー作文コンクールの応募作品から

「かけがいのないもの」 その受け止めがひしひしと
(公財)教科書研究センター特別研究員 細野二郎

(公財)教科書研究センターは、平成28年に創立40周年を迎え、記念事業として、小・中学生を対象とした「わたしと教科書」作文コンクールを実施した。海外からの応募も含め、1508通の応募があった。担当した同センターの細野二郎特別研究員に、応募作品の傾向などから、「子供たちの教科書への思い」を分析してもらった。

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 新学期、配られた教科書を開いて、鼻を教科書にくっつけて新しい教科書のインクのにおいをかぐ男の子。裏表紙に自分の名前を書いて自分の教科書という思いをかみしめる女の子。家に帰るや国語の教科書を一気に読んでしまう女の子。

作文コンクールにご応募いただいた作品の中にある新しい教科書をもらった時の子供たちの反応である。

『白いぼうし』の一場面「これは、レモンのにおいですか。」「いいえ、夏みかんですよ。」

これは応募作品に出てくる、フレーズの一つである。

一時代前の人たちにとって、教科書といえば「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」であったように、今の子供たちにも頭に残るフレーズがあった。

今や、当たり前に配られ、子供たちもごく自然に使っている教科書。教科書が子供たちにどう受け止められているのか。子供たちの生の声を聴きたかった。これが、当センターが創立40周年を記念して実施した『「わたしと教科書」作文コンクール』の目的の一つであった。

教科書でお友達とつながった。違う小学校に通っている幼稚園のときのお友達と同じ教科書の同じ教材を通してつながったと書いてくれた作品。今習っている教科書の作品を、なんとお母さんも子供の頃同じ教材で勉強していた。おかあさんとの会話が進んでいくという作品。

教科書はやはり、生活の一部になっている。

教科書は友達、私の宝物、魔法の本、教科書は第二の先生、教科書は時代を映す鏡、教科書は過去と現在そして未来を結びつけるとても大切な存在、などたくさんの声をいただいた。いただいた作品を子供たちの貴重な声として、これからさらに分析を進める予定である。

子供たちにとって教科書はまだまだ特別なもの、かけがえのないものなのだということだけは、間違いない。