一人一人に読書の楽しみを 京都市立北総合支援学校

障害種別の枠を超えて 本に関心を持てる環境設定で

紙媒体で本に触れることが難しい子供たちにデジタル図書で対応
紙媒体で本に触れることが難しい子供たちにデジタル図書で対応

京都市立北総合支援学校は2004年4月、障害種別の枠を超えて一人一人の子供の多様なニーズに応える教育を目指し、市街中心部に立地する全国初の総合制・地域制の養護学校として新設・開校された。

本校には、本に興味を持っているが、読むこと・見ること・聞くことに配慮を要する子供、図書館に移動してくることが困難な子供などが在籍している。

小学部から高等部までの、幅広い生活年齢やさまざまな障害種別に対応できる図書をそろえ、子供一人一人に読書の楽しみを知らせることができるように、また個に応じた学習方法で主体的に言語活動や探究活動を行えるよう、図書館を運営している。

〇教職員のおすすめ本

本校の教職員が幼い頃に出会った本、小学生や中学生の頃に影響を受けた本など、子供たちに薦めたい本をポスターにしたものを「教職員のおすすめ本」として校内に掲示した。指導者がそのような本を紹介することは、子供の実態を踏まえた選書や蔵書の点検につながり、教職員の図書館教育に対する意識を高めるとともに、「○○先生が薦める本を読んでみたい」と、子供たちの図書館利用を促進するきっかけとなっている。

〇選書会

選書会は「校内に本屋さんをつくる」という取り組みで、自分の好きな本、欲しい本を選択できる機会にしている。また、日常生活の中で書店に行くことが難しい子供たちの経験を広げる狙いもある。子供たちは実際に本を手に取り、見て、触って、大きさや重さを確かめて、それぞれの感性で笑顔で本を選んでいく。子供たちが選んだ本は手続きを経て、本校図書館の蔵書となる。

〇図書ボランティア・委員会活動

図書ボランティアによる読み聞かせや、児童生徒会の文化図書委員会の活動による図書館運営、本の紹介、お昼の全校放送での読み聞かせなど、子供たちが本に親しむ機会を多く作っている。

〇読書ノート

京都市では、子供たちの読書活動の充実を図るために「読書ノート」を作成し、幼稚園、小学校、総合支援学校に配布、「めざせ100冊読書マラソン」という取り組みを行っている。年間で100冊の読書を達成すると表彰され、本校でも小学部で取り組み、毎年数人が達成している。

〇デジタル図書

文字・音声・画像を同時に再生できるように作成された「マルチメディアDAISY」を分冊してCD化し、貸し出し可能にしている。タブレット型端末、視線入力装置、スイッチやフレキシブルアーム等の活用により、紙媒体で本に触れることが難しい、重度の肢体不自由の子供たちにも、自分から本の世界に触れることが可能になっている。

〇情報のメディアセンター化

「知りたいこと、学びたいことは図書館に行けば分かる」「図書館に行けば、何か楽しいことがある」と子供たちが主体的に学べる場所となるように、情報のメディアセンター化を目指している。既存の図書だけに頼らず、指導者がその学習のためにポイントを押さえまとめたものや、それまでの子供たちの学習の成果物を紙媒体でもデータでも蓄積し、活用できるように整備している。

〇地域の総合的コミュニティーセンター

本校は「地域とともに歩む総合支援学校」として、地域の自治会館や消防団施設を備えるとともに、老人デイサービスセンターを併設するなど、「都市型複合施設」としての役割を担っている。子供の学習活動とリンクさせて、本校図書館を地域に開放し、総合的なコミュニティーセンターとして利用できるようになることを目指している。

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本校の子供たちの読書の様子は、一人一人個性的である。物語を聞いて、見て、考えて、触れて、心を豊かにしている。また、学習の方法もさまざまである。知りたい、見たい、感じたい、と知的好奇心・探究心を持って学習に向かい、知識を得ている。その心を大切に育むためには、本に関心を持てるような環境を設定する必要がある。図書館を誰でも利用しやすいように環境を整備・設定することは、本を選んで読む経験をしたり、読書に親しんだり、自分から学ぼうとするきっかけにつながる。

本校図書館は本校に通う全ての子供たちの学びを保障し、今後も図書への興味・関心が持てるよう、新たな取り組みを試行錯誤しながら進めていきたい。(副教頭・飯田豊美)


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