ブータン展で幸せのヒント 7月18日まで東京・上野の森美術館

エントランス近くに置かれた金色のマニ車
エントランス近くに置かれた金色のマニ車

「ブータン~しあわせに生きるためのヒント」展が7月18日まで、東京都台東区の上野の森美術館で開催されている。ブータンの暮らしを伝える衣装や装身具、日常に欠かせない宗教生活、国民と王室の親密な関わりなどが、間近に見て感じられる。仏像や織物などは、日本で初公開される貴重な文化資料だ。

同展は、日本・ブータン国交関係樹立30周年記念事業。フジテレビジョン、産経新聞、東映、同館が主催し、外務省、ブータン王国内務文化省が後援する。

ブータン王国は九州ほどの広さで、北にヒマラヤ山脈、南に密林が広がり、地形的には閉ざされているような内陸国だ。だが、地勢上では交易に適している。現在、自然環境と伝統文化、宗教生活を大切にしながら、無理な開発をせず、ゆっくりと近代化を進めている。05年の国民総幸福度(GNH)調査で、国民の約97%が「幸せ」だと回答。世界は驚きをもってその幸福感を見た。

そうした幸福感の高さは、国教のブータン仏教(ドゥク・カギュ派)や豊かな自然、伝統文化、王室とのつながりと切り離せない。

同館1階と2階を巡る同展は、第1章「ブータン的生活様式」、第2章「ブータン仏教と信仰」、第3章「愛されるブータン王室」で構成。市井の人たちへのインタビューで構成される映像も見逃せない。

エントランスを入ると、大きな金色のマニ車が迎えてくれる。一回転させると経文を一度唱えたのと同じになるというマニ車を、自由に回せる。その先の回廊には、宗教的な仮面劇に用いる赤を基調とした色鮮やかな仮面が壁面を飾る。

第1章では、民族衣装に見る豊かな織物文化と、トルコ石を象眼した銀製ブローチなどの装身具と生活を見る。第2章では、紀元7世紀にチベットからもたらされた仏教について、仏像や曼荼羅、楽器などを展示。仏像とそれを描いた仏画との比較展示もされている。第3章では、初代国王から現国王までの王室にまつわる品や衣装などを特別展示。

また壁面に書かれた、いつくかの言葉(『世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論』徳間書店から)が心に残る。

「教員の仕事は、生徒に生き方を教えることなのです」「人生において、永遠に続くものは何もないのです」「幸せになるコツは、今の自分に満足することです」

当日券は一般1400円、大学・高校生1千円、小・中学生600円。

詳細は公式サイトに。

【言葉メモ】ブータンの言葉に「幸せ」はない

ブータンの公用語はゾンカ語と英語。「幸せの国」と言われるが、ゾンカ語には、英語のハッピーに対応する言葉はない。近似しているのは「セムガェ」。「心が気持ちよい」「心地よい」といった意味合いがある。自分の心がすがすがしくて気持ちよく、うれしい状態にあるのか。そうあるのなら「セムガェ」なのである。
友達と一緒にいるとき、家に帰って娘を抱くとき、仏さまに手を合わせたとき、家族のために食事を作るとき……、ブータンの人々は「セムガェ」だという。日常の小さなところ全て、人と人、人と仏の深い関係性に「セムガェ」を自然に受け止めている。
ブータン展の中で映し出される市井の人たちへのインタビュー映像は、「あなたのセムガェは」との問い掛けで結ばれている。

関連記事