第10回を迎えるユネスコスクール大会

成果と実践を学び合う パネル、分科会の内容を紹介

第10回ユネスコスクール全国大会(主催・文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、共催・NPO法人日本持続発展教育推進フォーラム、後援・教育新聞社ほか)の開催がいよいよ間近に迫った。記念すべき第10回大会で特に注目されるパネルディスカッションおよび分科会の内容について紹介する。

今大会は12月8日、横浜市の同市立みなとみらい本町小学校で開かれる。今回の大会テーマは「未来はワタシたちを待っている―ESDで育てる児童生徒、教師、そして学校、地域社会」。

これまでの全国大会では、ESD推進のためにこれらのユネスコスクールがどのような役割を果たせばよいかを命題として追求してきている。今回は、記念すべき10回目の全国大会となる。積み上げてきた成果、ESDの教育的効果を示す大会を目指し、教育活動およびESDの実践研究、さらには学校を取り巻く保護者や地域、教育委員会の活動などについて相互交流を図る。同時に、わが国のESDの普及発展、教育内容の深化拡充、調査研究の充実に資するものとする。

〇パネルディスカッション―卒業生が語るユネスコスクール

テーマは「ESDがつくるワタシたちの未来―ユネスコスクールで学び、育ち、そして、進む」。ESD推進拠点地域にあるユネスコスクール卒業生たちが、そこで学んだことや今に生かされていることを語り合い、ユネスコスクールでの教育活動の成果、全国大会の貢献を探る。

今大会で最も注目されるプログラムと言える。ユネスコスクールという、ある意味特殊な学校で若者たちは何を学んできたのか、自分たちの言葉で証言する。宮城県気仙沼市、東京都多摩市、横浜市、大阪府、奈良県、福岡県大牟田市というESDの盛んな六つの地域から登壇する。

〔登壇者〕(氏名は割愛)

◆宮城県気仙沼市=宮城県気仙沼高校2年/出身ユネスコスクール・宮城県気仙沼市立中井小学校、気仙沼市立唐桑中学校

◆東京都多摩市=東京都立小金井北高校1年/出身ユネスコスクール・東京都多摩市立多摩第一小学校、多摩市立多摩中学校

◆横浜市=東洋英和女学院大学2年/出身ユネスコスクール=横浜市立永田台小学校

◆大阪府大阪市=大阪府立能勢高校教諭/出身ユネスコスクール=大阪府立松原高校

◆奈良県奈良市=奈良教育大学1年/出身ユネスコスクール=奈良教育大附属中学校

◆福岡県大牟田市=梅光学院大学4年/出身ユネスコスクール=大牟田市立白光中学校
・ファシリテータ 末吉里花(日本ユネスコ国内委員会ESDS広報大使)

〇分科会―喫緊の課題を幅広く学ぶ

今大会は五つのワークショップ、六つのテーマ別交流研修会で構成する、全体で11の分科会を設ける。全国のESD関係者が一堂に会し、ESDの課題について情報共有、研究協議などを行う唯一の機会であり、大会の目玉でもある。

今大会の各分科会の概要を紹介する。テーマ、ファシリテータ・発表者、主な内容は次の通り。

▽第1分科会: ワークショップ「ユネスコスクールならではの気候変動アクション」(永田佳之聖心女子大学文学部教育学科教授)

2018年の夏は、41.1度という観測史上最高気温が記録され、7月の観測史上最高気温を塗り替えた地点は全国で100以上になった。このまま気温が上がり続けると台風が大型になったり、動植物が絶滅したり、食料や水が不足したり、感染症がまん延したりすることが懸念される。ユネスコが提唱する学校での気候変動アクション(ACE)の理論について学び、海外の優良実践を紹介した上で、学校で実際に試すことのできる具体的な気候変動アクション計画を作成する。

▽第2分科会: ワークショップ「ESD/SDGsを学ぶための教材をどう作成するか」(佐藤真久東京都市大学教授)

今まで、ESD/SDGs関連教材の開発に深く関わってきた多様な主体(団体など)が一堂に会し、教材の紹介とその活用事例、関連する学習プログラムの共有を行う。これらの教材を作るには何に配慮すればいいのか、教材を効果的に生かすことのできる学習プログラムとはどのようなものかについて議論を深める。グローバル教育推進プロジェクト、地球環境パートナーシッププラザ、日本環境教育フォーラム、Think the Earthなどが参加する。

▽第3分科会: ワークショップ「ESDの視点で教員の働き方を見直そう」(住田昌治横浜市立日枝小学校長)

学校全体が持続可能になっていくためには、今問題視されている教職員の働き方もESDの重要なテーマになる。「元気な学校は、元気な教職員から」「持続可能な学校は、持続可能な教職員の働き方から」である。横浜市のESDでは、カリキュラムマネジメントと学校運営の2本立てで取り組んでいる。授業を中心に取り組まれてきたESDも、学校全体さらには教育の在り方そのものを対象にする段階にきている。ホールスクールアプローチで進めるESDについて話し合う。

▽第4分科会: ワークショップ「多文化理解・多文化共生をどう進めるか」(小貫大輔東海大学教授)

東海大のUNESCOユースチームは、ユネスコスクールの高校生や大学生たちが県内のインターナショナルスクールやエスニックスクールの高校生たちと出会う「多文化共修」の合宿イベントを開いてきた。ワークショップでは、そのイベントの一場面を体験する。「言葉が通じない」環境に飛び込んでもらい、体を使って多文化な状況を乗り切るというワークを行う。

▽第5分科会: ワークショップ「学校と地域をどうつなげるか」(柴尾智子ESD活動支援センター次長)

ESD実践には、地域を学ぶ、地域で学ぶ、地域から学ぶ、地域のために学ぶなど、さまざまな視点が必要である。学校側にも、「地域」側にも、それぞれの進め方がある。持続可能な地域のために、それぞれが、あるいは第三者ができること、すべきこと、できればいいことを学ぶ。

▽第6分科会: テーマ別交流研修会「ユネスコスクールが行う海外連携・協働学習―海外と日本の事例から学ぶ」

各発表者から実践報告を行う。韓国のユネスコスクール活動に関する報告も行う。宮城県大崎市立大貫小学校、神奈川県立有馬高校、大阪教育大学附属高校池田校舎、韓国ユネスコ国内委員会からの報告を元に協議する。

▽第7分科会: テーマ別交流研修会「ホールスクールアプローチで学校をデザインしよう」(上山晋平福山市立福山中・高校教諭、新井雅晶東京都杉並区立西田小学校副校長)
GAPでは、ESD推進における優先行動分野の一つとして「機関包括型アプローチ(ホールスクールアプローチ)」を挙げている。「サステイナブルスクール」でもある福山中・高校、西田小学校より、ホールスクールアプローチによる実践の方法、内容、成果、特に学校を取り巻く環境の変化や学校に関わる人々の変容について話題提供する。

▽第8分科会: テーマ別交流研修会「ESDによる教育効果をどのように測るか」(棚橋乾東京都多摩市立連光寺小学校長)

多くの学校では、ESDを総合的な学習の時間で実践している。学習指導要領で示されている総合的な学習の時間の評価方法も参考にしながら、連光寺小学校のESD活動と評価方法について報告する。その上で、よりよい評価方法について議論する。連光寺小では、活動の前後でコンセプト・マップを書かせて比較し、活動で得た資料や写真、活動ごとの振り返りを記録する振り返りシート、まとめの作文などをファイルしたポートフォリオを活用した評価を行っている。

▽第9分科会: テーマ別交流研修会「どうやって周りを巻き込むか―ESDリーダー像を考える」(内藤圭祐名古屋国際中・高校教諭、中谷栄作和歌山県橋本市立あやの台小学校教諭ほか)
ESDを推進していくには周囲を巻き込み、連携して行くリーダーシップが必要である。ESDの次世代リーダーとしてさまざまな立場で活躍する「ESD日本ユース」メンバーの三つの実践を例に、共に学び合う。

▽第10分科会: テーマ別交流研修会「ESDと防災」(佐々木克敏宮城県多賀城高校長)

東日本大震災における「都市型津波」被災地に立地する多賀城高校では2016年度災害科学科を開設し、普通科と合わせて防災・減災に関わる学習を行っている。

防災上考慮すべき事項を学際的・教科横断的に、かつ継続的に学習するためのプログラム開発を行い、多くの人命と暮らしを将来にわたって守る「持続可能な社会」づくりを基本とした学習を行っている。防災学習、自然科学学習、国際理解学習を三つの柱とした授業や自ら参画するボランティア活動を含めた課外活動を通し、目的達成を目指している。

▽第11分科会: テーマ別交流研修会「横浜の児童生徒が考えるSDGs」(横浜市教育委員会)

学校のさまざまな教育活動をSDGsの視点で見直してみると、違った世界や未来が見えてくる。SDGsについて学習してきた横浜市立学校の小中高校生が、「SDGsがめざしている2030年の未来の姿」をテーマに、一人一人、自分が特に大切にしていることを踏まえて、合意形成のための思考ツールである「ダイヤモンドランキング」を活用してグループごとに話し合いを行う。 詳細・参加申し込みは、同NPOの大会ウェブサイトで。