教員採用試験の最新動向【問題例】

教員採用試験で実際に出題された中から、傾向が分かる最新の問題例をピックアップ。筆記試験の問題・論作文や集団討論のテーマ・面接の質問などを紹介しています。受験する自治体の過去問だけを見てしまい、多くの自治体で共通する傾向を見逃すことがないようにしましょう。

「筆記試験」問題例と傾向は?

筆記試験は、「専門教養」「教職教養」「一般教養」の3領域に分かれますが、ここでは「教職教養」の問題例を紹介します。以下は、東京都の2018年実施試験で出された問題です。

公立学校の教員の服務に関する記述として、法令に照らして適切なものは、次の1~5のうちのどれか(東京都2018年度実施試験(教職教養))。

1 教育公務員は、教育に関する専門職であることから、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事務に従事するに当たり、任命権者の許可は必要ない。
2 教育公務員が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表することについて、地方公共団体の長は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
3 教育公務員は、所属する地方公共団体の区域外において地域政党の役員となることはできるが、当該地方公共団体の公の選挙において投票するよう勧誘運動をすることはできない。
4 教育公務員は、その職の信用を傷付けるような行為をしてはならず、それらの行為に該当する事項に関する具体的な処分量定は国の基準で定めるものとされている。
5 教育公務員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。

教職教養の5分野のうち、「教育法規」に関する問題です。ご覧いただいて分かるように、かなりの長文ですが、東京都の問題としてはこれでも短い方です。
このように、選択肢の中から正しいものや誤ったものを選ぶ問題を「正誤判定問題」といいます。(正解は「5」)
続いて、以下は大阪府の2018年実施試験で出された問題です。

次の各文は、教育基本法の条文である。空欄A~Dに、下のア~クのいずれかの語句を入れてこの条文を完成させる場合、正しい組合せはどれか。 1~5 から一つ選べ(大阪府2018年度実施試験(教職教養))

第一条 教育は、( A )を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第三条 国民一人一人が、( B )を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その( C )、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる( D )が図られなければならない。

ア:人格の完成 イ:自己の人格 ウ:社会の実現 エ:生きる力の育成
オ:環境の整備 カ:生涯にわたって キ:未来に向けて ク:人間性と創造性

(A、B、C、Dの順)
1:エ、ク、カ、ウ
2:ア、イ、カ、ウ
3:エ、イ、キ、オ
4:ア、ク、キ、オ
5:ア、イ、キ、ウ

こちらは、空欄に用語を入れるタイプの問題で「空欄補充問題」と呼ばれます。補充といっても、実際に用語を書かせる自治体は少なく、大半の自治体は選択肢から選ぶ形式になっています。(正解は「2」)

「正誤判定問題」と「空欄補充問題」とでは、必要な対策法も違ってきます。上記の東京都の「正誤判定問題」の場合、選択肢の誤りを見抜く必要があるため、内容に対する深い理解が求められます。一方、大阪府の「空欄補充問題」の場合は、内容を深く理解すること以上に、重要用語等の確実な暗記が求められます。
大切なのは、受験する自治体がどのようなタイプの問題を出しているかを把握することです。試験勉強を始める前に、必ず過去問分析をするようにしましょう。
なお、自治体によっては、筆記試験の問題と正答をホームページ上で公開している所もあるので、「○○県 教員採用試験 問題」のキーワードで検索をしてみてください。

「論作文・小論文試験」問題例と傾向は?

論文(論作文・小論文)試験の問題は、学校教育に関わるものが一般的です。以下は、埼玉県の2018年実施試験で出された問題です。

第3期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)では、2030年以降の社会像の展望を踏まえた個人と社会の目指すべき姿と教育の役割として、個人においては「自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成」が挙げられている。このような人材を育成する上での課題について、あなたの考えを簡潔に述べなさい。また、あなたは教員としてその課題の解決のためにどのような実践をしていきますか。具体的に述べなさい。(埼玉県2018年度実施試験(800字/60分))

上記は、非常にオーソドックスな問題で、自身の「考え」と教員として行う「実践」を書くように指示しています。問題文の冒頭に、公表されたばかりの「第3期教育振興基本計画」が出てきていますが、このように時事的なテーマから出題されることもあります。
論文試験において、よく出題されるのは、以下のようなテーマです。

・目指す「教師像」に関わる問題
・作りたい「学級像」に関わる問題
・「いじめ」の防止・対応に関わる問題
・「不登校」の防止・対応に関わる問題
・「自己肯定感」の育成に関わる問題
・「規範意識」の醸成に関わる問題
・「確かな学力」の向上に関わる問題
・「学校安全」に関わる問題

また、2018年度の試験では、新学習指導要領の「社会に開かれた教育課程」や「主体的・対話的で深い学び」に関わる問題も、いくつかの自治体で出題されました。また、教員不祥事の多発などを受け、コンプライアンスに関わる問題を出した自治体もあります。
受験者としては、定番テーマから時事的なテーマまで、幅広いテーマで執筆練習を重ねておきたいところです。
なお、自治体によっては、論文試験の問題をホームページ上で公開している所もあるので、「○○県 教員採用試験 論文問題」などのキーワードで検索をしてみてください。

「面接試験」質問例と傾向は?
(1)個人面接・集団面接

個人面接・集団面接の質問内容は、自治体のホームページ上では公開されていません。また、過去問集などにも載っていないので、過去の受験者から話を聞くなどして、自分で情報を収集する必要があります。
以下は、2018年実施試験において、ある受験者が面接官に聞かれた内容です。

○本県の採用試験を受験した理由についてお聞かせください。
○あなたの長所はなんですか。
→それをどのように教育で活かせますか。
○あなたはどのような教師になりたいですか。
○他の人と協調して何か成し遂げた経験はありますか。
○魅力ある教師とはどんな教師だと思いますか。
○教師になったらまず何をしたいですか。
○あなたはいじめについてどう考えていますか。
→担任するクラスでいじめを見つけたらどうしますか。
→いじめを起こさないようにするためにはどうすればいいですか。
○「チーム学校」の取り組みについてどう思いますか。
○教員の勤務時間が長いと言われていることについてどう思いますか。
→どうしたら解消できると思いますか。
○部活動のガイドラインについてどう思いますか。
○クラスにLGBTの子供がいたらどうしますか。
○体罰についてあなたはどう思いますか。
→体罰にあたることとして、何がありますか。
→どうしたら体罰はなくせますか。
→先輩教員が実際に体罰しているところを見かけたらどうしますか。
○保護者から成績についてクレームを言われました。どうしますか。
→それでも理解してくれなかったらどうしますか。
→教育委員会に言うと言われたらどうしますか。
○授業中に、倒れた子供がいたらどうしますか。

面接試験の質疑応答としては、ごく一般的な流れです。
冒頭の「志望動機」「長所」、「目指す教師像」などの質問は、定番中の定番質問です。ここで詰まっているようでは、面接官にあきれられてしまうので、どう答えるかをきちんと練った上で本番に臨む必要があります。
また、中盤以降の「チーム学校」や「部活動ガイドライン」、「LGBT」などは、いずれも中央教育審議会答申、文部科学省通知などに出ている旬のキーワードです。こうした時事的なテーマについて聞かれる可能性もあるので、教育行政関連のニュースはこまめにチェックすることが大切です。
また、最後の「保護者クレームへの対応」や「倒れた子供への対応」は、「場面指導的質問」と呼ばれ、多くの自治体でなされています。さまざまな場面を想定し、自分なりの回答を考えておく必要があります。

(2)集団討論

集団討論のテーマは、学校教育に関連するものもあれば、関連しないものもあります。以下は、学校教育に関連するテーマ例です。

① 基本的な生活習慣に関すること
② 他人を思いやる心や生命を尊重する心に関すること
③ 学びに向かう力に関すること
④ 基礎的・基本的な知識・技能の習得に関すること

※上記4つのうちから1つが試験当日に提示される(東京都2018年度実施試験)。

一方、以下は学校教育とは、直接的に関連しないテーマ例です。

①県の特徴を表す統計(全国との比較、順位)人口(年代別、人口流出率等)、県民所得、農業、工業等
②県民の満足度(子育て、自然、教育等)
③県の魅力

※①②を各4名で10分間討論した後、③について8名で30分間討論。①②それぞれ、討論前に資料を配布(埼玉県2018年度実施試験)。

上記テーマは、学校教育と直接的には関連しません。あえて知識差のないテーマを設定することで、純粋な「積極性」や「協調性」を見たいという採用側の意図があります。

「教育新聞」読者の合格率は、全国平均の3倍高い

「新卒は不利だ」と言われる教員採用試験ですが、教育新聞の読者の新卒合格率は、全国平均の3倍も高いことが分かっています。

その理由は教育新聞の『3つの強み』にあります。

さらに大学生(院生)・臨時教員(講師)の方は、3割引で購読できます。教育新聞で、現役合格を勝ち取ろう!(【関連】教育新聞 学割案内

教育新聞 学割案内