校内でスマホを学びのツールに 産学官連携で来春から

2015年9月7日号掲載

スマートフォンを学校での学びのツールに――。そんな発想の転換で新たな学習に乗り出すのが、奈良市立一条高校だ。スマホを通して電子黒板で意見を集約したり、調べ学習をしたりと、アクティブ・ラーニングを実践していく。さらに、基礎学力向上のために、民間企業と連携し、有名予備校の講義を無料受講できるなどの仕組みも設ける。来春から実施する予定。

◇スーパー・スマート・スクール◇

同校で進められる事業名は「スーパー・スマート・スクール」(SSS)。奈良市と奈良教育大学、高校生向けの学習アプリ「受験サプリ」を運営するリクルートマーケティングパートナーズが連携し、産学官で新たな学びを提供する。

主に基礎学力の習得に重点を置く。単元に応じた確認テストのほか、ペーパーで半年ごとに到達度テストが実施される。その結果を、スマホにインストールされた受験サプリが分析し、学習課題がある単元の学習方法を示す。またその課題に対応した、有名予備校で行われている講義の動画も示してくれる。

教員側は、生徒の受講履歴や確認テストの成績などを把握し、学習指導に生かす。

進路指導の支援にも役立つ機能を備えている。「リクナビ進学」のアプリを使い、適職・適学を診断する。とかく偏差値に頼りがちな進路指導から、なりたい職への指導に変えてく。

普段の授業では、アクティブ・ラーニングを展開するために、スマホから各自の意見を発信して電子黒板に集約したり、電子辞書に替えて活用したりする。当面は、授業の中で5分程度スマホを使い、その時間枠を15分程度にまで延ばしたいという。学校図書館などでの調べ学習にも活用する。

生徒が、教員による普段の授業を4段階で評価する仕組みも設ける。

このほか、スマホを利用したいじめ調査も実施することができる。これにより、周りを気にすることなく、自宅でも調査に参加できる。

スマホを持っていない生徒には、タブレット端末を貸与する。

◇小・中学校に拡大の意向も◇

同事業の実施期間は2年間で、蓄積された学習成果のデータを奈良教育大学が分析。これに基づいて、効果的な学習方法を開発する。

市教委は、同校にタブレット端末を配備しようとしたが、生徒の9割がスマホを所持している状況に着目し、学習につなげられないかと検討していた。

同校ではこれまで、生徒が持ってきたスマホについて、電源を切り、各自かばんにしまっておくように指導してきた。同事業ではそのスマホを、学習に、積極的に活用していこうというわけだ。学校でのこうした取り組みは、珍しい。

来春に向けて今後、数百万円をかけて校内に無線LAN環境を整える。セキュリティシステムでLINEや有害サイトは閲覧できないようにする。

同市の中川げん市長は発表会見で、「今回は高校を対象に、市としての教育改革を行う。今後は小・中学校にも裾野を広げていき、日本の教育改革の大きな布石としていきたい」と抱負を語った。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



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