いじめ問題で教員研修の改善を 法律の読み込みを深めて

2015年9月10日号掲載

文科省は9月4日、いじめ防止対策協議会(座長・森田洋司大阪市立大学名誉教授)の初会合を開いた。岩手県矢巾町の中学校2年生男子が自殺した問題を受け、教員研修の在り方の見直しなどについて議論していく。いじめ防止対策推進法が施行されてから2年経過したが、いじめをめぐり、子どもたちの尊い命が失われる事案が後を絶たない。こうした中で、いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の小森美登里理事がこの日、教員研修の改善といじめ加害者への対策を訴えた。

小森さんは平成10年に、当時高校1年生だった長女を、いじめ苦自殺で亡くした。15年にNPOを立ち上げ、全国各地でいじめに関する講演や勉強会を開いている。

 この日の会合では、「教員が子どもの気持ちを十分に把握せずに、いじめではないと判断する場合がよくある」と述べた。

 いじめ防止対策推進法では、被害者の視点でいじめの有無を判断するとしている。だが、矢巾町の事案では、自殺した男子生徒がいじめを訴えていたが、担任教師は対応しなかった。

 こうした状況にふれ、「教育現場では、法律の読み込みがされていないと感じている」として、教員研修の改善を訴えた。

 その上でいじめが起きると評価が下がるとか、被害者側にも問題があり、問題があればいじめが起きても当然とする誤った認識をもつ教員がいまだにいるようだと指摘。

 一方、加害者へのケアも必要と訴えた。自らのNPO法人で調査したところによると、いじめの加害経験があるとする小・中・高校生の約7割が「いじめをしていた頃、自分もつらかった」と回答していた。「加害者には『いじめをしてはいけない』という指導しかされてないのは問題。被害者の安全を確保するとともに、加害者に寄り添い、いじめた背景について向き合う姿勢が重要」と強調した。

 協議会は今後、いじめ調査の基準を統一するため、不登校での重大事態調査に係る指針に関しても議論する。年度末までに、結論を出す見込みだ。

いじめ調査
自殺願望4人に1人弱
被害認識高いほどハイリスク

いじめ防止対策協議会の初会合では、ジェントルハートプロジェクトによる、小・中・高校生や教員を対象に実施した、いじめに関する調査結果が示された。いじめ被害の認識の程度が高いほど「つらくて死んでしまいたい」と答えていた。また、いじめを解決できる自信があるかとの教員への問いでは、「分からない」が多数を占めていた。

 児童生徒調査には、全国15都道府県の30校(小学校13校、中学校14校、高校3校)から、8448件の回答があった。一昨年10月から昨年5月にかけて行われた。

 いじめ被害を経験して「つらくて死んでしまいたいと思った」のは、「とてもある」と「少しはある」を合わせると35・0%に達した。「とてもある」と回答したハイリスク群は10・6%、10人に1人以上に上っていた。

 この回答を、いじめ被害が「ある」と「少しはある」といったいじめの程度の認識とクロスさせると、いじめ被害の認識がはっきりしているほど、自殺願望が高いことが分かった。認識が「ある」とした群では「死んでしまいたい」率は24・4%、認識が「少しはある」の群では4・5%。

 いじめられた経験、その被害の認識が強いとき、ハイリスク群は4人に1人弱にまで高まる。

 いじめをした経験があるかとの設問では、31・7%が「ある」「少しある」と回答。小学校では39・4%が経験し、学校種が上るごとに減少していた。

 また、いじめをしていた小・中・高校生の約7割が「いじめをしていた頃、自分も悩んだりつらかったりしたことがあった」と答えていた。学校種別では、小学校小71・8%、中学校68・4%、高校67・1%で、小学校から高校にかけて微減している。

 一方、教員調査は、13都道府県23校(小学校12校、中学校11校)から296件の回答があった。調査期間は一昨年10月から昨年4月まで。

 これによると、いじめの報告は小・中学校ともに、「他の児童生徒」「本人」からがそれぞれ4割前後となった。

教員自身の手で解決する自信があるかとの問いでは「解決できる」「ほぼ解決できる」を合わせると、小学校40・5%、中学校では24・3%だった。OECDの調査の結果にもあるように、自信がもてない教員が多数を占めるような現状が浮き彫りになった。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



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