早生まれの若者は自殺率高 阪大大学院などが研究

2015年9月14日号掲載

大阪大学大学院国際公共政策研究科の松林哲也准教授と、米国シラキュース大学の上田路子リサーチアシスタントプロフェッサーが、早生まれが青年期の自殺リスクを増加させることを、初めて明らかにした。

研究によると、4月2日の前後に生まれた若者の自殺率を比較したところ、早生まれの若者の自殺率が遅生まれの若者に比べて、3割ほど高かった。早生まれの影響が、幼児期の月齢についてや就学時だけではなく、学齢期を超えて長期間にわたって続くことが、初めて明らかにされたものとして注目されている。

早生まれの子どもに対する早期の教育的な配慮が必要なことを物語っている。

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早生まれの子どもは、同学年の遅生まれの子どもと比べて、身体的・精神的な発達が相対的に遅いため、学業やスポーツの分野で不利な立場に置かれる。これについては、これまでたびたび報告されてきた。

そうした状況の中で、青年期における自殺と早生まれは関連があるとの仮説を立て、統計手法(非連続回帰デザイン=連続変数の値が特定の閾値〔カットオフ〕の近辺に位置する個体群のデータを利用して、閾値の少し上や下にほぼ無作為に割り振られた個体群の特性を比較する手法)を用いて分析したのが、この研究。

わが国の教育制度では、1学年は4月2日から翌年4月1日までに生まれた子どもで構成されている。そこで、4月2日前後に生まれた15歳から25歳までの若者の自殺率を比較してみた。仮説の検証には、厚労省の人口動態調査を用いた。

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それによれば、4月2日前後の7日間に生まれた若者を比較すると、4月2日以降の7日間に生まれたグループと、4月1日以前の7日間に生まれたグループの自殺率は、1日以前の7日間のほうが、2日以降の7日間よりも、約30%高かった。2日前後の28日間を比べた場合では、比較群の差は小さくなっていた。だが、1日以前生まれの若者の自殺率のほうが、2日以降生まれよりも高かった。

学齢期に他の子どもよりも相対的に年齢が低かった若者の自殺リスクが、高い傾向にあることを示していた。

自殺は、現代の日本を特徴づける、深刻な社会問題で、防止策の構築に向けて、自殺原因の解明は喫緊の課題となっている。

研究結果は、自殺企図のさまざまな原因の中に、早生まれが含まれている可能生が極めて高いことを物語っていた。

早生まれの影響は、従来想定されていたよりも長期にわたり、若者の健康状態をも左右することが、統計上で初めて明らかになった。現行の就学年齢規定の見直しや、早生まれの子どもへの対策の必要性、教育現場で行う配慮の必要性なども示唆しており、今後の子育てや教育政策を考えていく上で、社会的な意義が大きい研究結果である。

研究成果は、米国科学誌「PLOS ONE」8月26日付のオンライン版に掲載された。論文タイトルは“Relative Age in School and Suicide among Young Individuals in Japan: A Regression Discontinuity Approach”

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



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