主権者教育で高校生向け副教材 総務・文科両省が著す

2015年10月1日号掲載

公職選挙法が改正され、選挙年齢が「18歳以上」に引き下げられたのを受けて、文科省は9月29日、主権者教育で使用する高校生向けの副教材「私たちが拓く日本の未来」を公表した。選挙や投票の仕組みといった基本的な知識や、模擬投票、模擬議会などの参加実践型、高校3年生には17歳と18歳が混在することから選挙違反に関する事例などを盛り込んだ。

「有権者として求められる力を身に付けるために」を副題にしたこの副教材は、総務・文科両省の著作になるもの。選挙制度の基本知識を学ぶ「解説編」、実践的な討論の仕方や知事選などの模擬選挙の方法を学習する「実践編」、学校での政治的中立性の確保について記述した「参考資料編」の3部構成。随所で「18歳未満は一切の選挙運動ができません」と注意喚起している。活用のための教師用指導資料も作成した。

9月29日には両省のホームページに掲載。12月には、国公私立の高校や特別支援学校、高等専門学校、合わせて370万部を配布する。指導資料は、学級担任や公民科教員などに約20万部配布する。

生徒向け副読本の解説編には、国政選挙である衆院選や参院選の公示・告示といった仕組みについて図表を入れながら説明、地方選挙との違いも詳細にふれた。

被選挙権については、衆院選が「満25歳以上・住所要件なし」。地方選では「満25歳以上・都道府県内市区町村に引き続き3カ月以上住んでいること」などと違いを示した。実際の投票方法も説明し、衆院選では、小選挙区や比例代表、最高裁裁判官国民審査の記述の仕方も明記した。

実践編では、討論の手法のほか、各政党の政策を比較したり、模擬選挙を実施した際の感想などを書き込んだりするワークシートを設けた。

手法の実践として「ディベートで政策論争をしよう」の項目を入れた。テーマを決め、肯定側、否定側に分かれて論戦し、教員が判定するとした一連の流れを明記。このほか、模擬選挙「未来の知事を選ぼう」では、個人演説会や政権放送上映の在り方を示し、候補者の評価表も取り入れた。実際に使用した衆院選の投票用紙も原寸大で掲載している。

また各政党の政策比較をするための4象限マトリクス座標も載せた。経済における政府の役割を重視しているか、個人の努力による福祉なのかといった政策の違いを、4象限上に示して把握することができる。

参考資料編では、Q&A方式で、選挙違反に関する疑問に答えている。

ネットでの選挙運動では、18歳であれば▽LINEやツイッターなどのウェブサイトを利用できる▽選挙運動メッセージを掲示版・ブログに書き込める▽選挙運動の様子を動画サイトに投稿できる――などを挙げた。

教師用指導資料には、指導上で政治的中立性をどう確保するかが指摘されている中で、授業での留意事項を挙げた。

特に、公職選挙法上で禁止されている行為や留意点については、授業の中で、とりたてて選挙運動期間中に、生徒に支持政党を尋ねるなどについて、教員が十分に心しなければならない点を押さえた。

文科省の担当者は「学校での実践的な活動を通じて、選挙の過程を学習するのが重要。工夫してさまざまな指導をしてもらいたい」と語る。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



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