所得連動型奨学金で議論 年内に方向、年度末に最終案

2015年10月26日号掲載

文科省は有識者会議を設け、新たな「所得連動返還型奨学金制度」について検討を始めた。年収に合わせた弾力的な返済制度を設けることで、回収率を高めるのがねらい。マイナンバー制度の導入に合わせて平成29年度から実施する。

改正後のイメージでは、年収に応じて返済額が変化する仕組みだ。例えば、年収250万円なら返済額月1万円、300万円となったら同1万5千円となる。

今後は、▽貸し倒れによる返還金減少の対応▽所得に応じたきめ細かい返還月額▽返還者の負担軽減と利便性の向上――など細かな制度設計を検討する。新制度は(独)日本学生支援機構が扱う。概要は年内に方向性をとりまとめ、年度末には最終案を示す予定だ。

新制度は昨夏、経済力に応じて返済できるようにと有識者会議が提言。借りた人の所得が把握しやすくなるマイナンバー制度が始まることで、過大なコストをかけずに運用できる見通しがついたために検討に入った。近年は経済不況の影響もあり、20年前に比べて奨学金を借りる人数や金額は大きく増えた。大学院を除く高等教育機関を卒業した30代~50代の約3割が年収300万円を下回る状況だ。

24年度から始まった現行の所得連動返還型無利子奨学金制度では、会計保持者の年収300万円以下が対象だ。大学卒業後は、本人の年収が300万円を超えるまでは返還期限が猶予される。規定の年収を超えるまでは、支払われない状況が長期化するとの懸念もある。

有識者会議では、海外の事例も示され、年収が300万円を超えた場合に9%を返還するイギリスなどの事例を説明。有識者会議の座長を務める小林雅之東京大学大学総合教育研究センター教授は終了後、「国民負担につながらないよう、できるだけ回収したい。だが、返済できない人から回収するのは難しい」と話した。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



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