人文社会科学軽視と抗議 国立大学人文系学部長会議が声明

2015年11月2日号掲載

全国の国立大学文系学部の再編を求めた文科省通知に関して、抗議の声が上った。信州、三重、高知の各大学などで構成する「国立大学法人17大学人文系学部長会議」は10月26日、「人文社会科学の軽視」だとの共同声明を文科相宛に提出した。

声明では、文科省と各国立大学が平成24~25年度の間に共同で取り組んだ改革の論点整理「ミッションの再定義」に応じているなかで、通知で「『組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換』を迫ることには疑問を抱かざるを得ない」と批判した。

人文社会科学の学問は基盤形成に寄与するものであるとして、「教育研究における人文社会科学の軽視は、わが国における人的基盤を根底から揺るがしかねない」と強調。「それぞれの大学の特性に応じて柔軟に支援していくことを強く要望する」と結んだ。

同省が6月8日に発出した通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」は、18歳人口の減少を理由に、教員免許取得を卒業要件としない「ゼロ免課程」を廃止するとの趣旨だった。だが、前提を省略したため、人文社会科学系までも廃止対象になるよう解釈された。各方面で「文系軽視だ」と反発の声が上がっていた。これを受けて同省は、「誤解を受ける表現だった」と火消しに動いたが、通知は撤回しない方針を示した。

同会議の幹事校を務める信州大学の吉田正明人文学部長は「文科省は、誤解を与えたことを認め、釈明している。新たな通知を出して訂正してほしい」と訴える。

この通知は、国内外でも大きな反響を与えている。7月23日には、日本学術会議幹事会が通知に対して批判する声明を出していた。外国メディアは、日本政府が産業界の意向を受け、理系人材の育成に偏重し、人文社会科学系の教養教育を犠牲にしているなどと報じている。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)

 



▼ニュース一覧へ