不登校問題 コーディネーター役が重要 文科省の協力者会議

2015年11月5日号掲載

文科省は10月28日、第9回「不登校に関する調査研究協力者会議」を開催。それまでの論議をまとめた中間報告を受けて、栗原慎二広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センター教授から専門的な意見をヒアリングした。同教授は、不登校生徒が激減した実践を踏まえ、中間報告の全体的な印象について、「学校が変わるのが目的のはず。コーディネーター不在では、学校がチームとして機能するはずがない」と、厳しく注文をつけた。

栗原教授は「中間報告は正しいことを言っている。だが、正しいことを言われたからといって、学校や教員が動けるわけではない。正しいことを言うのが目的か。学校が変わるのが目的か。コーディネーター役が重要だ」と意見を述べた。

同教授は、文科省による不登校生徒に関する追跡調査(昨年7月に報告書)に際して、研究会の委員を務めている。同会議は、不登校政策の今後の大枠を決めるもので、前回までに中間報告がまとめられている。その報告を受けて、大学院や教委の取り組み事例の発表や意見表明が行われた。

この中で同教授は、岡山県総社市での実践を発表。中学生の不登校が劇的に減少した事例を報告した。実践は、▽不登校だけが減ればいいわけではない。いじめ、暴力、非行も減らさなくてはいけない▽秩序維持のため、反社会的行動をとる生徒を学校から排除するケースが少なくないが、原則として排除は認めない▽全ての子どもの心理的・社会的成長を促進する教育活動である――を前提とした。

「排除禁止」を原則としているので、それまで登校せずに街で遊んでいた生徒を学校に戻す。そのため、取り組みの当初は学校が荒れる。その中で、教員の尽力や生徒同士の声掛けによって、落ち着いた学校状況を作り出す。そうすると、問題行動が大幅に減少し、同時にいじめも減っていく。警察による検挙・補導数も減る。

いじめや不登校の抜本的な解決のためには「学校の在り方を変える必要がある」と強調した。

そこで必要なのは、教員である「スクールカウンセリングチーフ」だ。一般教員よりも高度な研修を受け、「保幼小中高」のつなぎ役になれる教員が必要だという。チーム学校を導き、地域の教育を具現化できる人材を、各学校に配置する。

このような先導役を務めるためには研修が必須であるというと、教員の負荷が不安視される。だが、問題行動が減れば、生徒指導にかける時間は減る。総合的に見れば、大きな負荷にはならないという。

  これまで国は、子どもたちの問題状況に対して、さまざまな施策を打ち出してきた。いじめや不登校にはスクールカウンセラー。学級崩壊には支援員。虐待やモンスターペアレントにはスクールソーシャルワーカー。それでも、いじめや不登校に顕著な改善が見られないのは、何が問題なのか。

「いじめや不登校が起こってからの対応では、改善するはずがない」「コーディネーター不在でチームが機能するはずがない」と同教授は結論づけた。

不登校の原因は多面的であり、包括的な支援をしない限り減少しない。特効薬はない。不登校は、現在の学校教育や教員が、多様化する子どもたちに対応できなくなっていることの現れだという。教員が原理と対応策を知り、自信を取り戻さなければ、不登校は増え続け、学校は荒廃するおそれがある。「教員への支援が重要だ」と同教授は話した。


(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)
 

 



▼ニュース一覧へ