中教審初等中等教育分科会「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」は11月4日、第16回会合を開き、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の答申素案を示した。主な内容は、(1)チームとしての学校が求められる背景(2)チームとしての学校の在り方(3)具体的な改善方策――の3つ。スクールカウンセラーを教職員定数に参入するなど、多様な人材を配置して業務を分散する青写真を描いてみせた。12月に開催される中教審総会に、答申が提示される見込み。
答申素案では、チームとしての学校像を提示。校長のリーダーシップの下に、▽専門性に基づくチームを構築▽学校マネジメント機能の強化▽各教職員が力を発揮できる環境整備――を図っていく。
専門性をもつスタッフの参画については、スクールカウンセラー(SC)などに言及。国は、SC、スクールソーシャルワーカーについて共に、①学校で必要とされる標準的な職として職務内容を法令上で明確化②日常的に相談できるよう配置を拡充し資質を確保③将来的には、学校教育法で正規の職員として規定し、義務標準法で教職員定数として算定して国庫負担の対象とする――よう検討するとした。
看護師等については、インクルーシブ教育システムの実現に向けて、小・中学校への配置に関わる経費を補助する。
ICT活用スキルをもつ人材は、一定の資質・能力を備えた支援員を育成するモデルプログラムを国が開発。配置の充実を図る。
そのほか、学校司書、ALT、部活動指導員についても言及。配置拡充を図るとともに、人材育成をしていく。
専門性を有する人材の導入に合わせ、現在、教員が担っている諸業務を見直す。教員が行う本来の仕事である授業や学級経営、生徒指導、学校行事、成績処理などを除いた事務業務や学校ICT業務などについては、教員以外の職員、専門性を有するスタッフ、地域人材などが担うべきものとして示した。
こうした業務分散化の一方で、いじめへの対応などについては、SCに全てを任せるのではなく、日常的に子どもに接する教員、サインに気づきやすい養護教諭など、さまざまな立場から総合的に関わるよう促した。
学校マネジメント機能の強化としては、校長裁量経費など、裁量枠の拡大を推進する。
同時に管理職研修も見直し、国や教委はプログラムを開発。ケーススタディーやフィールドワークなどを取り入れる。教職大学院に管理職コースを設置することを検討。研修を休日や夜間に開催し、より多くの管理職が受けられるようにする。
教員の力量発揮では、人事評価制度を活用。評価結果を、任用や給与などに反映させていく。成果を上げた教職員の表彰は、個人だけでなく、学校単位、分掌単位で行うことを検討する。
教員のメンタルヘルス対策は、ストレスチェック制度をはじめ、第一次予防や復職支援に取り組んでいく。
保護者、地域からの要望に対応するため、弁護士会、警察等の関係団体と連携し、対応のための仕組みを構築していく。
会合では、チーム学校として専門スタッフが学校現場に入るのはいいが、教職員自体の数を減らすことがあってはならない。定数確保はしていくべきだといった意見が出された。
今後は、初中分科会、中教審総会に素案の内容を示するとともに、パブリックコメントも考慮。12月の中教審総会に、答申を提示する予定。
(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)