検定や無償配布など課題山積 デジタル教科書でシンポ

2015年11月16日号掲載

 文科省の「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議座長の堀田龍也東北大学大学院情報科学研究科教授は、11月9日、DiTTデジタル教科書教材協議会主催のシンポジウム「デジタル教科書の位置づけはどうなる?~文科省検討会議について」で、デジタル教科書を制度化する場合の課題を、パネルディスカッションの中で指摘。同検討会議の動向や課題山積の問題の在処について話した。同教授が語った内容は――。

 検討会議の委員は17人で構成。これまで4回開かれた。ヒアリングが中心で、意見が整理されつつある。来夏ごろまでに中間まとめが出される。自分としては、5月の大型連休明けをめどとしている。

 教科書のデジタル化については、採択の仕組み、定価、発行部数、検定など、にわかには変えられない事柄が多い。国会での法律改正が必要だ。紙の教科書の配布がなくなった場合、教科書会社の体力が弱まる。それでは良質のものが作られなくなる。

 著作権については、紙の教科書への掲載なら許諾するが、デジタルはいやだという著作者もいる。外国の作品でも同様の事情がある。検定では、音声や動画はどのようにするのか。表示されているサイトの中身まで検定するのか。難しい問題だ。ただし、拡大教科書や音声など、障害のある子どもにとってはバリアフリーになる。

 紙との関係では、全部をデジタルにするのか。検討会議では併用が主流になっている。義務教育の教科書は無償だが、紙だけ無償にするのか。デジタルも全て無償にすると、予算が莫大になる。国としてどうするのか。紙とデジタルの併用に関しては、地方によって使い方が異なるなど、さまざまな課題が山積している。

 高校は義務教育ではなく、教科書は有料。受益者負担の高校から話し合うのがいいのではという見解もある。高校ならば、理科はデジタル、社会は紙という選択もありうるが、義務教育では難しい。

 デジタル教科書の活用による学力向上の効果については、あるのは確か。年齢にもよる。小1が全てデジタル教科書でいいのか、徐々にニーズが分かってくる。今は併用の時期で、次の段階を考えると、重要な期間といえる。

 現状では、紙媒体を検定しているが、デジタルで検定して紙の教科書にする方法もある。デジタル教科書が基本となった場合、子ども全員が端末を持つ必要が出てくる。情報機器の整備は、地域格差が大きい。依然、端末は6・4人に1台が現状で、課題は多い。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)  

 



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