高校の通級指導ニーズは高い 調査研究協力者会議が実施検討

2015年11月26日号掲載

高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第1回会合で、高校での通級指導や特別支援学級の制度化を見据えた検討が始まった。現行制度上、高校では、義務教育課程のように通級指導の実施や特別支援学級の設置はできない。しかし、そのニーズは高校にも高く、その解決に向けて論議を進めるのが、同会議の目的。関係団体からのヒアリングを含め、年明けまで検討を重ね、来春までには報告書をまとめる予定。

同研究協力者会議による検討期間は、今年度いっぱい。初会合は11月17日に文科省内で行われ、岩井雄一十文字学園女子大学人間生活学部教授が主査に選出された。

初会合でのヒアリングで事例が発表され、希望者が多く、受け入れきれない現状が明らかにされた。

ヒアリングの1つ目は、静岡県立静岡中央高校通信制課程の通級講座「社会とつながる力(コミュニケーションスキル講座)」について。

今年度、県内3カ所のキャンパスで前期8回、後期7回開かれている。参加者は前後期とも38人。同校の在校生のほか、県内19の高校から通っている。

同校のスクーリングと重ねて、日曜日に開講している。他校からの生徒にとっては、通級講座の受講が他に知られないので自尊感情が守られる。一方、同校の在校生にとっては、スクーリングと重なるので他の講座が受講できず、この通級講座を受講しているのが知られる点が、課題となっているという。

通級講座を実施するスタッフは、同校教諭、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)講師、特別支援教育支援員、カウンセラー、キャリアアドバイザー。同校教諭だけではスキル不足なので、臨床心理士など専門家にも依頼した。

受講決定までの流れは、本人、保護者からの申込書、在籍高校長からの副申請書を同校校長に提出。講座を通して身につけたい内容などを記した生徒調書を作る。

その後、担当者と受講者、保護者が面談して「個別の指導計画」を作成。講座では受講生を観察して行動記録を作り、変化を取り出して指導にフィードバックしていく。

キャンパスが3カ所あり、不便な立地のところもある。通うのが大変だが、独力で電車に乗って通えるようになり、自立支援につながる副産物もあった。

2つ目は、島根県立邇摩高校での取り組み。全日制総合学科で十人十色のカリキュラムが可能だ。「邇摩高校活性化プラン」に特別支援教育の充実を掲げ、中核に位置付けた。

校内に知的障がい特別支援学校分教室(高等部)が設置されている。ここの自立活動担当教員が訪問指導する。

昨年度から取り組みが始まった。1年生の対象生徒4人が、課外で3回実施。障がいの認識や自己理解、感情やストレス対処のスキルを習得した。これは授業時数、単位には含めない。

今年度は、2年生になった4人が2単位70時間「煌めく羅針盤」の授業名で受講。効果的コミュニケーションスキルの習得など、自立活動の指導を受けている。来年度も2単位70時間を予定している。

一方、ICT機器の活用による一斉授業の改善工夫により、学習理解や意欲を高めた。

事例発表を受けて行われた質疑では、「希望者数が予想を超えた」「全員を受け入れられないのが課題」といった現状が答えられ、通級指導の必要性が強調された。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)  

 



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