保存か解体か旧大川小 住民や遺族の思い交錯

校舎保存については、さまざまな思いが行き交う
校舎保存については、さまざまな思いが行き交う

東日本大震災による津波で、児童74人、教員10人が犠牲になった宮城県石巻市の旧大川小学校を解体するべきだとの意見が、市の地域住民に対する調査で5割を超えた。一方、保存(全部または一部)を望むのは45%だった。住民らでつくる「大川地区復興協議会」は、市に保存を要望していた。同協議会が行った遺族や住民の一部を含めたアンケートでは、半数以上が全部を保存するべきだと答えていた。

市の調査は、10月から11月にかけて、地域住民490人を対象に実施された。324人から回答を得た。

それによれば、旧大川小学校を「解体」は54.4%で、半数を超えた。「全部保存」と「一部保存」は、合わせると45.0%。

ただ 全市民を対象にした調査では、「一部保存」32.1%と「全部保存」28.3%を合わせると60%を超えており、「解体」は37.2%だった。この調査の対象は、18歳以上の無作為抽出した2千人で、うち938人が答えた。

大川地区を対象に、震災遺構の保存についても尋ねた(複数回答)。震災の記憶を消したいとの思いがあるのか、「現在の姿を無くす、または隠す」が最多を占めて55.7%。次いで「最低限の建物の補強や周辺の環境整備」が24.4%。

津波火災によって被害を受けた旧門脇小学校と旧大川小学校を含めて、震災遺構化の行政負担については、「行政負担が過大になる場合は工夫を図る」が多くを占めて52.9%となった。このほかは、「行政が可能な負担の上限を決める」21.4%、「必要ならば行政負担もやむを得ない」17.6%と続いた。

大川地区復興協議会は、今年3月に、遺族や住民の一部を含めた126人にアンケートを行い、半数以上が全部保存するべきだと答えていた。これを地区の総意として、市に保存を要望した。

市は旧門脇小学校とともに、2つの校舎の保存費用を試算し、調査結果も踏まえて保存するかどうかを検討する。今年度までに一定の方向性を示す考えだ。

大川小学校遺族の佐藤敏郎さん(52)談 校舎を壊す、壊さないは30年後、100年後の人々に、この震災を伝えるかどうかの話。そんなに急ぐ話ではない。門脇小学校は残すかどうか有識者を交えて議論を行った。だが、大川小学校の場合は、そのような話し合いがなされていない。きちんとした議論が必要だ。校舎がなくなることで、震災の記憶はなくならない。悲しみと向き合っていかなければならない。

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