いじめ重大事態93件 幻聴あらわれた生徒も

重大ないじめ被害の件数が明らかに
重大ないじめ被害の件数が明らかに

文科省の第3回いじめ防止対策協議会が12月2日、省内で行われた。いじめ防止対策推進法第28条規定の「重大事態」に関する平成26年度の調査結果が明らかになった。

それによると、いじめにより子どもの生命、心身または財産に重大な被害が生じた件数は93件。自殺5件、自殺未遂13件、身体への傷害23件、精神性の疾患の発症21件、金品等の重大な被害8件、その他23件。学校種別では小学校26件、中学校42件、高校25件。このうち警察と連携したのは小学校12件、中学校21件、高校14件と、いずれも約半数だった。

「重大事態」の具体は――。

▽自宅2階から飛び降りて骨折等のけがを負い入院加療。生徒間の携帯電話でのやりとりなどでトラブルがあり、飛び降りの背景にこのいじめが関連していると判断された。

▽複数の生徒から複数回、多額の金品を喝取され、その際、暴力やいやがらせを受けた。

▽長期間いじめが継続、暴力行為でけがを負ったのをきっかけに不登校。その後、不眠、不安、抑うつ状態となり、医療機関を受診。

▽いじめが続く中、薬を大量に飲み、病院に搬送された。

▽金銭を強要されたり暴力行為を受けたりして幻聴等の精神性の疾患症状があらわれた。

▽非行グループから抜けようとして、膝蹴りをされたり顔を殴打されたりする暴力を受け、歯が折れた。

また、いじめにより相当の期間、学校の欠席を余儀なくされているのは383件。一方、いじめがきっかけで不登校になった人数は1424人(児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査)。

不登校のきっかけはいじめだが、「重大事態」ではない理由は、いじめの発生がいじめ防止対策推進法の施行前だったが373件。いじめがきっかけで不登校になったものの、早期対応によりいじめは解消。その後、複合的な要因で年間30日を超える欠席となったが594件。転入前の学校におけるいじめがきっかけが29件だった。

これを受け、「不登校重大事態の指針」の素案が示された。当該児童生徒が欠席を余儀なくされているいじめの状況を解消し、学校復帰の支援につなげることが目的だ。

学校はいじめによる不登校発生について地方公共団体の長等への報告義務を負う。設置者もしくは学校は、聞き取りによる調査を行う。学校に調査組織を設置するに当たっては、適切な外部専門家を加えたり、調査結果を外部専門家に諮問したりするなどして、調査の公平性、中立性を確保する。本人は話したがらない場合があるので、周囲の児童生徒、教職員から多角的に情報収集する。その際、自由に話させ、聴取する者の主観で発言を解釈、評価しない。

調査内容を踏まえ、当該児童生徒が学校に復帰できるよう、家庭や関係機関、心理・福祉の専門家などが連携して支援方策を検討する。

この素案に対し委員からは、「支援の目的を学校復帰と言い切ってしまっていいのか」と確認があった。事務局は「義務教育段階では学校に行くのが前提」としつつ、「不登校に関する調査研究協力者会議」で支援策が話し合われているので、そこでの提言も取り入れていくとした。