授業抜けて通級指導 そこに抵抗感あるのでは

自校での実践と課題を語る校長2人
自校での実践と課題を語る校長2人

高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第2回会合が、12月3日、文科省で開かれた。協力者からのヒアリングや議論を行った。高校では、義務教育課程のように通級指導を実施する制度はないが、ニーズは高い。通級指導の制度化に向けた検討が必要とされる。

会合は、義家弘介文科副大臣のあいさつに始まった。副大臣は「未来をつくるのは人間。制度でも経済でもなく人間。人をどのように育んでいくのかが問われている。その中でも、特別支援教育の推進は重要な課題の1つ」と述べた。

同会議で検討する事項は次の3点。

①高校における通級による指導の制度化の意義。

②高校における通級による指導の制度設計。

③高校における通級による指導を制度化した後の充実方策。

①では、制度化の課題を確認する。高校における特別支援教育の体制全般については、平成21年度の高校ワーキンググループで議論されているため、制度面に特化して議論を進める。制度化の意義や、懸念事項、それに対する対策も検討。

②では、教育課程上の位置付け、通級による指導の対象とするのに適切な障害の種類などを話し合う。障害に応じた特別の指導をどう定義するか、通級による指導時間は何単位・単位時間までにするのが適当か、全日制・定時制・通信制で制度に違いを設ける必要はあるかなども議論する。

③では、国や都道府県教委の役割、通級指導担当教員の配置・専門性確保や施設整備、学校の体制整備などが課題になる。卒業後を見据えた進路指導・就労支援との連携も重要な議題。
これらを踏まえ、校長2人が問題点や実践を発表した。

永妻恒雄さいたま市立大宮南中学校長は、小・中学校での通級指導の現状と課題を述べた。

文科省の資料によれば、平成26年度に通級指導を受けていた小学生は7万5364人。中学生は8386人。中学生になると、通級指導を受けている生徒が大幅に減るのが分かる。言語障害は発達に伴う改善が顕著だが、それを差し引いても、小学校の指導でこれほど多くの子どもが通級指導が不要になるほど改善したとは考えにくい。

通級指導教室設置学校数は、小学校で3134校、中学校で608校。全国的に、毎年、通級指導教室の設置数は増加しているが、小学校に比べて中学校の設置数が圧倒的に少ない。継続的な指導の必要や本人・保護者のニーズがあるのに、小学校卒業時に指導終了となるおそれがあるという。

同校長は、中学校で通級指導を受ける生徒が減少する要因をいくつか推察。その中で、通級指導が必要なのに受けていない理由として、他の学校に通級する物理的困難さ(時間帯や距離)、通常授業を抜けることへの抵抗感(入試や他人の目)などを挙げている。これは、高校でも同様の課題が考えられると語った。

笹谷幸司神奈川県立綾瀬西高校長は、自校のインクルーシブ教育推進体制を発表。同校では、障害の有無にかかわらず、できるだけ同じ場で共に学ぶ方針。ただし、通級指導の教室を設けており、実践している。

通級指導の場は、生徒の入りやすさに配慮。明るい環境で、通常教室から少し距離のある教室を使用する。そこでは、国・数・英の基礎や、良好な人間関係に向けて対人スキルを向上させる取り組みを行う。生活能力向上や社会体験を通して自分の進路を考える力を養う取り組みもある。どれも、生徒の自己理解を深め、自己肯定感を育むのを重視している。

同会議の第3回会合は、12月15日に実施する。

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