「失望感大」と文科相 三省堂の教科書問題

馳文科相に経緯を説明する三省堂の北口社長ら
馳文科相に経緯を説明する三省堂の北口社長ら

北口克彦三省堂社長は12月7日、文科省を訪れ、馳浩文科相と面会。昨年8月に、教科書検定期間中に行われた同社の「編集会議」に小・中学校長らを集め、教科書を見せて意見を聞き、謝礼金を払っていた問題で謝罪。「教科書発行社として責任もって取り組んでいく」と陳謝した。

この日、文科省を訪れた北口社長らは、一連の経緯をまとめた報告書を提出。

それによると、「編集会議」は、平成21年度以降に計7回開催され、26都府県の教員合わせて53人が参加していた。昨年8月23日の会議は、28年度から使用の中学校英語の教科書に関する意見交換を目的に実施。「小中連携」と「CAN-DOリスト」をテーマに話し合ったという。出席したのは、青森や埼玉、福岡、大分など11府県の小・中学校の校長・教頭など11人。交通費や宿泊費などの経費は、同社が負担したほか、「編集手当」として5万円を支払っていた。

同社から参加したのは役員2人のほか、営業や編集部員ら計14人。会議開催を決定したのは、役員を含む管理職の会議であったと、報告書で説明している。

この事実について報告書は「極めて軽率かつ不適切な行為であった」との認識を示し、反省の色を見せている。

このほか同様の会議は、小学校国語と中学校英語および国語を対象に21年に2回、22年に4回開かれていた。昨年の会議と同様に、出席した教員には経費を負担し、編集手当も支払っていた。

同社は今後、再発防止策として、社長を責任者とする「経営管理室」を新たに設け、コンプラインアンスを周知徹底する方針。さらに社内規程や行動規範も作成する見込みで、年度内をめどに体制を整える見通しだ。

この日の午前中に同社長は馳文科相と面会し、教科書問題について謝罪。文科相は「極めて失望感を与える重大なこと」と語った。

その後、同省の望月禎教科書課長に報告書を提出し、省内で会見を開いた。

同社長は「基本的な姿勢がかなり欠けていた。教科書発行者としての信頼回復を図ってくほか、編集会議や営業の在り方を抜本的に変えていく」と、再発防止に向けた体制を進めていく決意を述べた。

また(一社)教科書協会の理事を辞任する意向を示した。加えて、報酬の一部を返還すると表明した。

この問題をめぐっては、昨年8月に開催された会議が、外部からの情報提供で発覚。文科省は今年10月に同社長を呼び、採択の公平性と透明性に疑念を生じさせるなどとして厳重注意を行っていた。

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