そこはフォルテ! プロの演奏家が直接指導

貴重な体験が深い学びにつながる
貴重な体験が深い学びにつながる

普通科の高校生が、プロの音楽家から定期的に直接指導が受けられる。教える者と学ぶ者が互いに響き合う楽しい授業の中で、生徒は技術や表現力を一層高めている。横浜市立戸塚高校(長田正剛校長、生徒数944人)には、普通科の中で充実した音楽教育が受けられる「音楽コース」がある。12月9日には、長年、ドイツのケルン放送交響楽団で副首席フルート奏者として活躍したハンス・マルティン・ミュラーさんが来校。同コース生徒のフルートやアンサンブルに、熱のこもった指導を行った。

音楽コース1年生の山岸菜々佳さんは、ノブロットの「メロディ」を題材に、フルートの個人レッスンを受けた。

ミュラーさんは山岸さんの演奏を聴き、「メゾフォルテではなくフォルテで」「呼び掛けるように」など、表現で気を付けたいポイントを笑顔と情熱を込めて助言した。

淡々とした演奏にならないよう注意を促し、曲の全体像と合わせて明確な表現イメージをつかめるよう「メロディーを実際に口ずさんでみよう」とのアイデアも提案。

レッスンを見守る生徒らもメロディーを口ずさみ、表現のイメージをしっかりもって臨む大切さを学んでいた。

同コースの2年生、武藤朱音さんは、現代音楽の難曲、ベリオの「セクエンツァ」をフルートで演奏。ミュラーさんは武藤さんの演奏を称賛しながら、「自由な表現だけでなく、正確なリズムで演奏する力を磨くのも大切」として、メトロノームを使った練習に取り組ませた。その上で、表現力向上のアドバイスとして「ビブラートの活用」「各小節間のつなぎ」などの配慮を示した。

同コース1、2年生によるホルンやトランペット、コントラバスなどによるアンサンブルも指導。

生徒らが演奏したプレトリウスの「テルプシコーレ舞曲集」を聴いたミュラーさんは「素晴らしい。文句のつけようがない」と、これまでの努力と成果を大いにたたえた。その上で、さらに演奏の質を高めるために、「演奏を率いるリーダーは、曲の表現イメージをしっかりともち、明確に表現するようにしよう」などと励ました。

指導を振り返ってミュラーさんは、「生徒たちは高い目標をもち、高い技術を備えていた。普段の指導もしっかりしていると感じた。指導を通じてさらなる成長がみられて感動した。素晴らしい生徒たちだった」と、喜んでいた。

「教育には常に強い関心がある。教師はビジョンを持って指導にあたるのが大切。教師と子どもは相互に影響し合うもの。楽しい授業を心掛けて子どもの学びが高まるよう意識した」などの思いも示した。

生徒らには、「国際的な活躍も視野に、コミュニケーションに必要な英語などの語学力を身に付けてほしい。海外の情報をつかむ上でも重要になる」などと願っていた。

同コースは、昨年度に始まった。特色ある高校教育の実現を視野に、普通科教育と音楽の専門教育を両輪で進め、幅広い知識と教養、豊かな人間性と高い音楽能力をもった人材を育てる。

特色ある授業として、プロの音楽家から直接指導が受けられる「演奏法」を週1回実施。音楽技術の向上と同時に、社会人としての力も磨く。音楽を通じて社会に貢献する力を育むため、地域の演奏会の企画運営や演奏を生徒自ら進める学びなども行う。

長く実績を残してきた同校吹奏楽部との連携活動などとともに、プロ演奏家にも、他分野にも通じる道を歩んでいける教育を探究している。

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