厚労相が異例の要請 児童福祉法改正報告書を延期

会場には多くの傍聴人が集まり、注目度の高さをうかがわせた
会場には多くの傍聴人が集まり、注目度の高さをうかがわせた

子どもの虐待が増加しているなか、児童福祉法を改正し、保護年齢の引き上げなどを検討している厚労省の社会保障審議会児童部会「新たな子ども家庭福祉の在り方に関する専門委員会」は12月11日の第4回会議で、同日に取りまとめる予定だった報告書を延期すると決定した。理由は、塩崎恭久厚労相から「さらなる論議を」と異例の要請があり、ヒアリングが行われたからだ。一部委員からは「大臣の介入だ」と批判の声が上がった。同省は、来年の通常国会での法改正を目指しているが、報告書の取りまとめに時間がかかれば、法案提出に黄色信号が点る。

塩崎厚労相が11月末に、福岡市総合相談センターを訪問した際に、弁護士でもある久保健二こども緊急支担当課長から提案を受けたのが、報告書取りまとめ延期のきっかけとなった。

この日の専門委員会では、久保課長からのヒアリングが急きょ行われ、児相介入を中心に、話が進められた。

同課長は、児童の一時保護について、明確な基準が必要だと指摘した。現行では「必要があると認めるとき」とされており、裁判所に基準を丸投げしていると主張した。

その上で「児童の生命、身体に危害(心理的外傷を含む)が及ぶおそれがある」などと基準を示した。また72時間を超えての一時保護はできないとした。

臨検・捜査の要件にも言及。要件を緩和するのであれば、立ち入り調査との一体化が必要と説明。原則として令状主義を尊重しつつ、緊急時には不要と提案した。

このほか、接近禁止や、面会通信制限といった児童福祉法の改正案について意見を述べた。

弁護士資格をもつ委員からは、「この段階でヒアリングをするのは尋常ではない。大臣が直接介入をしていると考えざるをえない」との意見が上がった。さらにこの委員は、久保課長との間で逐条議論を行い、会議は一時、さながら2人の議論の場となった。

また久保課長の提案をどう扱うかについて話が及び、参考意見で報告書案に反映させるとの前提で議論すると結論が出された。

終了後、委員長を務める明治学院大学の松原康雄教授が報道陣の質問に答え、大臣の要請については「驚いた」と語った。加えて「結論をどうしろというのではなく、議論を深めてほしいとの趣旨。介入だとは思ってない」との認識を示した。

今後の日程に関して「私の個人的な感覚だが、まとまるのは来年だろう」と厳しい表情を見せた。