道徳教育 指導意図と評価観点を明確に

今後の評価の在り方が協議された
今後の評価の在り方が協議された

文科省の道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議は、第7回会合を12月16日、東京都千代田区の東海大学校友会館で開いた。道徳教育の評価の現状と課題を複数の実践から明らかにし、今後の指導と評価の在り方について協議を深めた。「指導と評価の一体化」「指導意図と評価観点を明確化し、学習状況を正確に把握する」などの提言のもと、校内の全教員が質の高い実践と評価を実施するための視点や工夫の必要性などが提起された。

委員間で交わされた意見などをまとめると――。

道徳教育の評価を考える際の難しさとしては、▽全教育活動で進める道徳の中で道徳力が、道徳の時間(「特別の教科 道徳」)と他の教育活動のいずれがどう影響し育まれたかをいかに判断し見取るか▽学校全体の育成、実践目標を踏まえ関連づけた各教科領域の目標設定や実践の在り方――がある。

これに関連して、道徳教育の評価の課題や検討すべき視点が、実践報告から提起された。

「評価は授業の質の向上の延長線にある」との視点では、指導と評価の一体化の重要性から意見が示された。

学習指導要領の「特別の教科 道徳」の小学校の目標には、①道徳的諸価値について理解する②自己を見つめる③物事を多面的・多角的に考える④自己の生き方について考えを深める――とある。この4観点に基づく実践によって、目標に迫る内容の工夫や場面に応じた見取りの観点、子どもの学習状況の把握につながるとされた。

「特別の教科 道徳」の評価観点として示されている「数値などの評価をせず、子どもの学習状況や道徳性の成長の様子を継続的に把握し指導に生かす」を踏まえた実践と評価の意識についても論点に上がった。

実践の主題設定に基づく授業計画づくりが質の高い授業につながるとして、主題設定で考慮すべきは、①価値観②児童観③教材観の3点。

①は「特別な教科 道徳」だけでなく、学校の全教育活動を通じて行う道徳教育への教師の指導の構え、②はこれまでの学校全体で行った道徳教育の状況と結果、子どもの実態、③は教材をどう活用し道徳性を養うか――というもの。

これらの観点を考慮しながら、授業の振り返りをして指導改善を図る流れを作りたいなどとされた。

また年間を通じた道徳教育実践の中での子どもの反応や感想、姿などを、道徳通信などで記録し、公開し、教師の所見記入による評価などの取り組みも押さえどころとされた。

道徳通信は授業ごとの感想文から気になる感想を記載。学年末には個人別に1年分をとじる。定期的な授業記録や板書写真、子どもの変化や意見のメモを活用し、教師が短文の所見を記入する。所見には、▽よく発言する子ども▽変化が見られる子ども▽発言が消極的な子ども――などの項目を立て、育ちやタイプ別に、子どもの成長の見取りに生かしていく工夫も実施している、などとされた。

道徳教育の3つの視点を踏まえたより良い評価の工夫と課題についても語られた。1つ目は児童生徒の道徳性の評価で「どのような実態・状況にあるか」。2つ目の指導方法や内容の評価は、「方法は適切で、有効だったか」。3つ目の指導計画や指導案評価は「計画や組み立ては効果的だったか」といった具合に確認し、全ての子どもの「よりよく生きようとする姿」を観察し、記述していく「道徳ファイル」を活用したポートフォリオ評価などの事例も挙げられた。抽象的、曖昧、雰囲気による評価からの脱却や、多様な評価方法を効果的に活用したいなどの課題克服にもふれられた。

委員からは「得意不得意や教職経験を超え、校内の全教員が質の高い実践と評価を実施可能にする視点や工夫が重要」「『特別の教科 道徳』の実施は道徳教育充実の最大のチャンス。どの学校もしっかり意図を理解してほしい」などの声も聞かれた。