3答申案を議論 教員の多忙化避ける方針

委員からは答申案をさらに深める意見が表明された
委員からは答申案をさらに深める意見が表明された

中教審初等中等教育分科会第103回会議が12月17日、文科省旧庁舎で開催された。前回までの意見を踏まえて加筆修正された3つの答申案について、各委員が論議をより深める意見を語り、確認などを行った。児童生徒のいじめ等の状況について、文科省の報告もあった。

議題に上った答申案は、①これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について②チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について③新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について。

①は、タイトルに「学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて」との副題が追加された。内容では、教員の多忙さに触れ、「ワーク・ライフ・バランスを良好に保ちながら、教員一人一人が他の教員と協働しつつ、学び続けるモチベーションを維持できる仕組みを構築することが重要」の文言が加筆された。教員研修については、「新しいことを始めるに当たっては何かを減らすという意識を持ちつつ、質の向上・転換を図ることに留意」と、ここでも多忙化につながらないよう配慮する表現が追記された。

委員から以前に指摘があったミドルリーダー不足についても記述を追加。「研修で業務を離れる教員の代替を含め、研修機会の確保やアクティブ・ラーニングの視点に立った学びの推進等に必要な教職員定数の拡充を図るべき」とした。

委員からは、「この答申を施策として生かすのが大事」「アクティブ・ラーニングは、現場の教員に研修をするよりも、教員養成の段階でじっくり身に付けさせた方がいい」「専門性だけで現場の教員は務まらない。人間性が重要。子どもに教育をしたいと情熱を持った人が教員になれるように」などの意見が出た。「現場でアクティブ・ラーニングを実践する教員が周囲から浮いてしまう場合がある。管理職に嫌な顔をされたり、同僚に反対されたりする現実がある」との指摘もあった。

②は、複数の委員が事務職員の重要性を訴えた。「事務職員がもっと教育に参加するべき。高校などでは職員室と事務室が離れている学校がある。これでコミュニケーションがとれるのか」と問題提起した。

学校外の人と連携・協働が増えるので、「これまで以上に校長のリーダーシップが問われる」との意見もあった。「SCとSSWは、きちんと法令に位置付け、自立した職業人として処遇上の配慮をしてほしい」「部活動の事故は、責任を明確にすることで抑止にもなるのでは」などの提案も出た。

③は、「家庭教育は全ての教育の出発点」と明記。家庭教育が困難な現状についても記述があるが、委員は「家庭教育ができていないのは、ここに書かれた状況の家庭だけではない」と指摘。それを押さえて、どう解決するのかを考える必要性を示した。

学校・家庭・地域が責任と役割を自覚しながら相互に協力する重要性も記載された。女性が働きやすくなるための地域の応援の仕組みが大事との意見を受け、「安心して子育てできる環境を整備し、育児と仕事が両立する社会を実現していくことが必要」とも追記もされた。

コミュニティ・スクールの仕組みとしての学校運営協議会については、学校や教委の自発的な意志による設置が望ましいと明記。教委が積極的にコミュニティ・スクールの推進に努めるよう制度的位置付けを検討する。

児童生徒のいじめについての報告では、いじめの認知学校数に注目。いじめはほとんどの学校にあると推測される中で、いじめを認知していない学校が4割以上あるのを問題視した。いじめの認知を肯定的に受け止め、初期対応をしっかりするのが重要だと強調した。

各委員からの発言趣旨は、文科省の事務局側で、答申案にさらに加味していく。

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