中高接続と就労支援で白熱 高校の特別支援で

教委の立場から意見を表明する委員
教委の立場から意見を表明する委員

高校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第4回会合が12月22日、都内で開催された。「高等学校における通級による指導の制度化に関する論点整理(案)」について委員が意見を交わしながら、制度化の意義と制度設計の方向性を議論した。

特に議論が白熱したのは、中・高校の接続と就労支援。各委員がそれぞれの立場から課題を投げかけた。

東京都府中市立府中第九中学校長の高岡麻美委員は、通級指導のある高校については入試が柔軟になってもいいのではないか、と提案した。

島根県教育庁特別支援教育課指導主事の三代恵里子委員は、中学校から高校に通級指導の情報がほとんど引き継がれていないのを問題視した。中学校で通級指導を受けたと申告すると、高校入試に悪影響があると心配する人が多い。情報が高校に伝わらないから、高校では1年次を実態把握に使い、個人に対応した指導を開始するのが遅くなるという。

これに対し、神奈川県立綾瀬西高校長の笹谷幸司委員は、「通級と書いてくれた生徒の方が保護者との話も早いし、その後の引き継ぎも早い。高校側は書いてくれた方がいい」と訴えた。

明星大学教育学部講師の中田正敏委員は、「特別支援学校は就労支援がしっかりしている。これが大きな選択の基準になっている。高校には魅力があるが、入試があるから入れるか分からないし、自分に合うかも分からない、就職できるかも分からない」と、支援を要する生徒が高校に進学するときの心情に触れた。その上で、高校での支援について、「支援は提供するイメージが強いが、本人と話し合って一緒に作っていくもの」と力説。この構えがないと、高校生の就労支援は機能しないと結論づけた。

進学・就労を問わず、必要な支援を生徒が自分で選択し、確かに伝える力を身に付けるのが大事との意見も出た。㈱いなげやウィング管理運営部長兼事業推進部長の石川誠委員は、「企業がヒアリングをしても、なかなか言い出してこない」と指摘。発言する力を養う必要性を訴えた。合理的配慮を受けるため、生徒に「相談力」をつける対策をする特別支援学校もあるという。

就労支援の専門家を配置する必要性を訴える意見もあった。企業に精通し、高校生との付き合いもできる、コーディネーターになれる人材を置くのが重要とし、教員の専門性だけでは対応できない部分を指摘した。「文科省の管轄と決め付けず、厚労省的な人材を入れ、就労支援にチームで取り組むのが大事」と、ハローワークに近い組織を学校内につくる提案があった。強力な外部人材として、同窓生や関係者に声をかけて協力を依頼する方法も有効とした。

個別の指導計画も活発な議論の対象となった。「個別の指導計画を義務付けたらどうか」などの意見があり、実際に研修で教員に指導計画を作成させた経緯がある教委の意見も表明された。個別の指導計画に関する文科省の統計の取り方にも議論は及んだ。

十文字学園女子大学人間生活学部教授の岩井雄一主査は、論点整理にある「知的障害の特性としては、習得した知識や技能が断片的になりやすく、生活に結びつきにくいことや、場面や状況を理解した上での適切な判断や行動が難しい場合が多い」という記述に対し、「高校での支援を考えたとき、対象になるのは本当にこのような子どもたちか」と疑問を呈した。高校に進学する知的障害者は、とても軽度な場合が多い。岩井主査はこの表現に違和感があるとし、この点には他の委員も同意した。

会議の最後に、筑波大学教授の柘植雅義副主査は、今回の会場となったホールの入り口の幅が狭く、電動車いすで傍聴に訪れた人が入場に苦心した点に触れた。「いろいろな人に聞いてほしいオープンな会議なので、会場にも配慮を」と、事務局に要望した。