プログラミング教育を 指導教諭の育成が課題

〈訂正〉12月25日に掲載のプログラミング教育の文中で「日本情報科教育学会でとったアンケート」とあるのは「ある研究会のアンケート」、「不可能と答えた教師が6割」は「指導したことがない教師が6割」の誤りでした。(1月4日)
プログラミング教育の具体的なイメージを示す天良教授
プログラミング教育の具体的なイメージを示す天良教授

次期学習指導要領で新科目として注目される「情報科」(仮称)の学習内容について、天良和男東京学芸大学特任教授が、第8回日本情報科教育学会のフォーラムで講演。12月23日、日本情報科教育学会が主催し、東京都港区の東海大学高輪キャンパスで行われ、身の回りの簡単な事象を導入したプログラミング学習、指導教諭の育成、教材が必要と語った。

フォーラムでは、同特任教授の講演後、2人の高校教諭が実践報告をし、その後、3人がパネリストとなってパネルディスカッションを行った。

「次期学習指導要領を踏まえたカリキュラムの内容」と題して話した同特任教授は、「次の学習指導要領では、プログラミングを教えていく。高校の現場でどれだけ教えられるのか。先日、ある研究会のアンケートでは、指導したことがない教師が6割。教えたくない教師が1割いた。まずは、指導するための教材づくりをどこかが応援しないといけない。教師育成のための教材、授業でも使える動画などをつくる必要がある」とし、同学会による貢献を呼びかけた。

共通必履修科目で学ぶ内容については、「『アルゴリズムとプログラミング』は、基本構造や簡単なプログラムを扱い、応用として簡単なゲームプログラムなどを行う」「モデル化と身の回りの簡単な事象のシミュレーションもする。社会科や理科など他教科の学習内容に関連するデータを用い、表計算によるデータ処理と分析をする。コンピュータによる計測・制御の事例も取り上げる」「情報モラルでは、著作権や産業財産権の概要。情報社会の諸問題、個人情報、モバイル端末を使う際のネットワークコミュニケーションなどを中心にすえる」などと、具体的な学習内容をイメージして示した。

「情報科」は、中教審教育課程企画特別部会が5月に出した検討素案で「新科目」として示されていた。現行の「社会と情報」「情報の科学」を統合する形だ。その必要性については、高度な情報技術の進展に伴い、科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身につけることが重要とされている。

同特任教授は、新科目への移行イメージとして「『情報の科学』を継承する」とし、「新課程になっても、当初は共通必履修科目だけで終わるだろう」と予想した。

また諸外国の事例を挙げ、アメリカでは、プログラミングを教えられる高校教員1万人の養成を目指すCS10K運動が起きている。マサチューセッツ工科大学が開発したビジュアルプログラミング言語による低年齢層へのプログラミング教育が広がりを見せている。イギリスでは初等教育で、プログラミングを含むコンピュータサイエンス科目が必修教科として導入された。これを後押しするために開発された小型コンピュータ”Raspberry Pi”が、イギリスだけでなく、世界的な広がりを見せているとし、世界的にプログラミング教育が重視されていると強調した。

講演に続いて実践報告をした稲川孝司大阪府立東百舌鳥高校教諭は、今年度、文科省委託情報教育指導力向上支援事業でプログラミング授業を行った事例を報告した。

「1年生でプログラミングの授業をした。本来、中学校でやっているはずなのに、10分の1くらいしか授業を受けたことがなかったという。はじめに随分と時間がかかってしまった。中学校でやっていてくれれば、高校でもう少し先の内容までできる」と、中学校で学習していないのが現状とした。

また春日井優埼玉県立川越南高校教諭は、「情報科では、活動を伴う場面が多いので、アクティブ・ラーニングを導入しやすい。だが、いまだにコンピュータを使うにはコンピュータ室に行かなければならない状況がある。配布されたノートパソコンは古くて充電がきかず、使いものにならない。校内の無線LAN環境が、まだまだ整っていない」とハード面の整備が必要だと訴えた。