授業づくりの根幹は不変 ICT活用しても

ICT活用は教員も生徒も変えたが、授業の根幹は揺るがない
ICT活用は教員も生徒も変えたが、授業の根幹は揺るがない

神奈川県高等学校教科研究会情報部会は12月25日、横浜市の神奈川県立総合高校で第4回研究会を開いた。高校生が中学生に行う情報モラル授業、自分のしくじりから振り返る授業の在り方、スカイプを使った国際交流などの実践を、県内11人の高校教諭が報告した。

平成26~28年度のICT利活用教育推進スーパースクール指定校である県立生田高校の天野尚治教諭は「ICTはあくまでもツール。導入しても授業づくりの根幹は変わらない。ただし、組み立ては大きく変わる」と効果的な使い方によって生徒たちの学び方に変化が出てくると話した。

指定を受けた同校には、タブレット端末40台が業者から無償で提供された。まず目標にしたのは、教員のICT利活用能力の向上。「教室でセットなどに手間取り、5分かかったら、もう授業にならない」と、全教員に使うよう求め、ICTが苦手な教員を対象に研修を行った。

職員室にホワイトボードを置き、どの授業でタブレット端末を何台使うのか記入するようにした。現在では、ほとんどの学習で使われている。

物理担当教諭の長妻令子教諭は、タブレット端末を1人1台使う授業を展開。「教師から生徒に質問を出し、生徒から答えが返ってくる。答えはすぐに集計でき、いろいろな意見をプロジェクタで映し出し、グラフに示せるので、話し合いに使える」と効果を指摘。

今後は、生徒の端末に自宅学習のためのデータを送るなどして、反転学習に取り組んでいきたいと語った。

また鎌倉女学院中学校・高等学校の工藤由希教諭は、ネットリテラシーの向上と定着を図るために、高校2年生が中学1年生に情報モラルを教える授業を1学期に行ったと報告。

10時間の設定で、5人ずつの2グループを1つの単位とした。1時間目にネット事業者に来校してもらい、SNSについて講演してもらった。2時間目には無料通話アプリやインターネット上の掲示板を用いて、だまされたり、炎上したりするトラブルを体験。3時間目には広告業界から講師を招き、キャッチコピーと企画書の制作についてのワークショップを行った。

以降、グループごとに企画書のプレゼンを行い、2つのうちどちらがふさわしいかを多数決で決めた。10人で話し合いながらコンペで選ばれた企画を主軸に、グループでコンテンツを制作。

授業を行う側と受ける側に分かれ、交代してリハーサルを行い、良い点や改善点を出し合った。

最終調整を経て、実際に授業を実施。高校生10人が中学生20人に、寸劇やゲームなども交えて授業した。

授業後のアンケートでは、「情報モラルへの理解は深まったか」に高校生の69%が「はい」と答えた。「SNS利用の方法や心構えの変化について」は82%が「変化があった」と答えた。

中学生は「高校生の授業に興味・関心が持てたか」に82%が「はい」と答え、「ためになると感じたか」には94%が「はい」と答えた。

工藤教諭は、高校生に、SNSの問題点を話し合わせたところ、ほとんどが授業で聞いた内容だった。高校生ならではのオリジナルな視点が少なかったのが課題とした。

そのほか、スカイプを使ってタイの小学生と交流した実践、教師2年目で自らの失敗を明らかにし、今後に向けて抱負を語るなどさまざまな報告があり、80人ほどの参加者は、熱心に聞き入っていた。