母親の喫煙で低体重児を出生 肥満リスクも増加

調査について質問を受ける関係者
調査について質問を受ける関係者

平成27年度エコチル調査メディア報告会が1月6日、都内で開かれた。環境省と国立研究開発法人国立環境研究所が主催。同調査の概要・進捗状況と、5年間で得られた集計結果について語られた。

同調査は、「胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が、子どもの健康に大きな影響を与えているのではないか」との中心仮説で進められている。調査内容は、妊娠中の喫煙、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、睡眠時間など多岐にわたる。

得られたデータによれば、妊婦が喫煙をすると、胎児に酸素や栄養が供給されにくくなり、低出生体重につながる傾向がある。後に心臓病や肥満、生活習慣病のリスクが増えるという。母親が「喫煙経験なし」「妊娠前から禁煙」「妊娠初期から禁煙」「現在も喫煙」となるにつれて、子どもの出生体重は減る。喫煙経験のない母親の子どもと、出産時期まで喫煙を続けた母親の子どもでは、出生時に推定100グラム以上の体重差があるとしている。

集計結果の発表を行った、山梨大学大学院の山縣然太朗教授は、「子どもの健康を考えたら、妊婦は少しでも早く禁煙するべきだ」と話す。

また3歳児の場合、夜午後10時以降に寝かせている母親が約3割いた。日本の赤ちゃんは世界で一番睡眠時間が短いという。出産時に20歳未満の母親と、40歳以上の母親が、子どもを寝かせる時間が遅い傾向も明らかになった。その点について、40歳以上の母親は、上の子どもの就寝時間に影響を受けているなどの可能性が示唆された。

同調査は、子どもが生まれてから13歳に達するまで行われる。調査参加者は、平成23年1月から3年間で募集した。

調査規模・方法は、全国の10万組の親子を対象とした出生児の追跡調査(出生コホート調査)。10万組規模の出生コホート調査としては、デンマーク、ノルウェーに次いで3番目の開始。世界が注目している。

昨年度からは、10万人のうち5千人の子どもを対象に、詳細調査も実施。精神神経発達調査や医学的検査のほか、家庭訪問を行い、生活環境中の化学物質なども調査している。

調査対象で最年長の子どもは、現時点で4歳半になるところ。今月末にも4歳半の調査が行われ、同時並行して、他の各年齢の調査も実施する。

調査に際しては、子どもの精神面にも配慮する。2歳児であっても、これからどのような調査をするのか丁寧に説明し、安心できる雰囲気づくりを徹底する。採血時の負担を軽減できるよう、子どものケアの専門家に協力を仰いでいる。

特長は、(1)同じ年齢の子どもだけを切り取る「断面調査」と同一人の変化を観察する「縦断調査」を両立(2)地域では妊娠届出と出生届出時点の情報しか得ていない場合が多いが、同調査ではその途中にも調査を実施する――。

同調査の結果解析によって期待される成果は、(1)小児の健康に影響を与える環境要因の解明(2)小児の脆弱性を考慮したリスク管理体制の構築(3)次世代の子どもが健やかに育つ環境の実現。
1月16日には、同調査の5周年を記念して、「エコチル調査シンポジウム」を日本科学未来館で開催する。

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