ESDの手引作成へ データ提供型にしてほしい

少人数で活発な議論が行われた
少人数で活発な議論が行われた

日本ユネスコ国内委員会教育小委員会懇談会が1月14日、文科省で開かれた。第38回ユネスコ総会の結果や、ESD特別分科会報告、最近のESD関連の取り組みなどについて議論が交わされた。

第38回ユネスコ総会について事務局は、馳浩文科相の出席を報告。大臣は、一般政策演説、各国の教育・科学技術・文化・スポーツ担当大臣との会談、ユネスコ/日本ESD賞授与式での副賞授与などを行った。

その中で、ボコバ事務局長との協議も実施。ユネスコ世界遺産への「南京事件」に関する資料の登録について、あらためて、わが国として遺憾だと伝えた。記憶遺産事業の改善を強く働きかけ、日本とユネスコが透明性の向上など制度改善の必要性に関して問題意識を共有。ユネスコ事務局が見直しに向けての検討に着手したのを確認したという。

日本ユネスコ国内委員会会長でもある安西祐一郎委員は、「馳大臣が手続きについて改善を求めたのは、たいへん大きな貢献」と述べた。

同総会には、安西委員も同委員会会長として出席。「ユネスコ創設70周年にあたっての提言―多様性の尊重と持続可能な社会の実現に向けて―日本ユネスコ国内委員会会長ステートメント」を、ボコバ事務局長に手交した。同ステートメントについて安西委員は「私ひとりのものではない。国内委員会のステートメントだ」と強調。複数の委員からは「ステートメントを出して終わりではなく、これを使っていかないといけない」との指摘が続いた。安西委員は、「日本の教育の方向性として使ってもらえれば」とした。

同分科会がまとめた「持続可能な開発のための教育(ESD)の更なる推進について」に関する報告では、事務局が「ESD実践の手引(仮称)」作成に向けての検討状況を説明した。

手引は、今年度内をめどに教委や指導主事、学校管理職を対象に作成される。事務局は「多くの内容を盛り込むが、中身を精査し、できるだけコンパクトな手引を作りたい」と発表。宮城教育大学学長の見上一幸委員長は、「手引、マニュアルはESDにそぐわないとの意見もあったが、まずは教委や管理職に理解を深めてもらいたい」とコメントした。

その内容に関して委員からは「直接的な答えではなく、ヒントをたくさん盛り込んでほしい」などの提案があった。小学生にエネルギー問題や原子力問題を投げかけるのは難しい。そのヒントの提示が必要だとされた。

安西委員は「必要なのは事例集よりもデータ集」と、教育現場にデータソースを提供する重要性に言及。「食糧にしてもエネルギーにしても、教員がデータを集めるのは大変。それを提供しないで、現場に『頑張ってください』と言うのでは申し訳ない」と力説した。

文科省のユネスコ関係予算に関しては、ESD推進のためのコンソーシアムの形成について議論が集中した。「何を目的にコンソーシアムを作るのか」「そこで交流を図って、どのような目的で何をさせたいのか」を明確にするよう、委員が念を押した。

ESDの方向性として、「コンピテンシーを身に付けるのが目標とされてしまうと、他の教育課題と重なってしまい、分かりにくい」「まずは多様性や持続可能性に絞っていくのがいい」との提案もあった。見上委員長は、「確かにESDをきちんとやればコンピテンシーが身に付くが、それが目的ではない」と締めくくった。

この日には本来、第134回教育小委員会として会合が開かれる予定だった。だが、参加者が定数に満たず、懇談会として実施された。

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