オール社会で障壁除こう 障害者差別解消法4月施行

自身の体験から合理的配慮を語る尾上調査官
自身の体験から合理的配慮を語る尾上調査官

この4月から施行される障害者差別解消法の基本方針について、尾上浩二内閣府障害者制度改革担当室政策企画調査官は1月15日、神奈川県の平塚市立美術館で行われた地域フォーラムで解説した。

法の基本的な考え方は共生社会の実現。障害者の社会的障壁を取り除くのが重要で、不当な差別を解消する。

また障害者から社会的障壁の除去が必要との意思表明があった場合、合理的配慮を提供する。実施に伴う負担が加重でない限り、行政機関や事業者は対応しなければならない。

尾上調査官は、「この法律は、町づくりの側面を持つ。障害がある人もない人も、オール社会で取り組むのがポイント」とし、各自治体で条例づくりをしてほしいと要望した。

その際、大事なのは建設的対話だ。障害者は、その障害特性から、一人ひとり個別性が高いので、具体的事例で考えなければならない。意思表明にあたっては、本人だけでなく、家族や介護者も含まれる。

合理的配慮の一例として尾上調査官は、自らの体験を話した。

「私は小さいころから車いすを使っている。以前、おいしいと評判のレストランに行った。店の前に着くと段差があり、車いすでは入れなかった。どうしようと思案していたら、店の人が手伝って車いすを中に入れてくれた。店に入ってからはテーブルにそのまま着くのは無理だったので、車いす周りのスペースをアレンジしてくれた。2つの合理的配慮を提供してもらった」と振り返った。

料理は評判通りにおいしかったので、後で車いすの仲間に伝えた。しばらくして再びその店に行くと、店の前の段差は無くなっていた。

「こうしたバリアフリーが実現されると、ベビーカーを押す人、キャリーバッグを引っ張る人、重い荷物を抱える人などにも便利」とし、障害者への配慮がさまざまな人にプラスになるとし、合理的配慮の蓄積が共生社会の実現を近づけると強調した。

また鈴木治郎障害者差別解消支援地域協議会湘南西部圏域地区モデル協議会会長は、「差別は簡単にはなくならない。障害を持つ私でさえ、男女差別、外国籍の人への差別観が全くないとは言い切れない。無意識にそうした差別をしてしまうからこそ、意識化をしなければいけない」と警告した。

とはいえ、時代の流れで、以前よりも社会的に差別は減少していると話した。

「私が学生の頃、電車に乗ろうとしたらだめと言われた。近くにいた人が一緒に乗って援助すると言ってくれたが、くせになるからだめと拒絶された。それが今では、どこまで行きますかと聞いてくれるようになった。時代は変わってきている」

その一方で、「障害者は、歩けない、見えない、聞こえないのがいけないと自分を責めてしまう。自分がいやなことは相手もいやだと分かってほしい」と訴えた。

社会的には、障害者差別解消法の施行など、人権擁護はかたちになってきている。あとは具現化が課題だ。鈴木会長は、「当事者である障害者の声を聞いてほしい」と要望した。

「駅の障害者用トイレなど、若い人たちが使っていて間に合わなくなりそうなときがある。法律が絵に描いた餅にならないよう、1人でも多くの人に関心を持ってほしい」と訴えた。

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