小学校の特別活動でも主権者教育を 積み重ねが大切

主権者教育は小学校段階から――。1月20日、中教審初等中等教育分科会教育課程部会「特別活動ワーキンググループ」の第3回会合が開かれた。

前回の学習指導要領改訂以降の社会の大きな変化として、18歳からの選挙権年齢引き下げがある。特別活動では、その点に、どのように取り組んでいくのか。

三浦浩喜福島大学副学長は、「福島県を見る限り、小学校の児童会でリーダーを決める際に、選挙をしていない。小学校でも、投票を通して自治を学ぶ必要がある。決まった事項には従うと、身をもって体験するのは大事」と、選挙行動の体験の意義を話した。

主査の貝ノ瀬滋政策研究大学院大学客員教授は、「主権者教育は大切。18歳になる直前に、にわか教育をしても無理。小学校から特別活動できちんと積み重ねていくべき」と、小学校段階からの実施がふさわしいとした。

宮下和己和歌山県教委教育長は、「高校進学率が97%とはいっても、進学しない若者はいる。だからこそ、義務教育段階での主権者教育が大切。現状では、おしなべて投票率は低い。子どもたちへの主権者教育が、投票に行かない親世代の行動変化にも結びつくかもしれない。親が変わるてこにできないか」と、社会変化に結びつく可能性を示唆した。

吉村功太郎宮崎大学教授は、「児童会や生徒会で学校の運営に携わる経験は、実社会でも生きてくる。選挙についても、知識だけでなく、それを体験すると、社会を実感できる」と話した。加えて、「しゃんしゃんで終わっては、意義は半減する。合意形成の難しさを経験させる。あえて失敗させ、そこから学ばせる。教科ではできない学びを特別活動でしてほしい」と要望した。

一方、特別活動で育成すべき資質・能力についても議論が交わされた。

恒吉僚子東京大学教授は、「想定外の出来事に対して柔軟に対処できる。いろいろな考え方、予測できない状況に対応する力が求められている。今後のグローバル化に伴い、自分たちとは文化や考え方が異質な人たちが増えてくる。そういう人たちと一緒に生きていく力が必要」とし、学級会の話し合い活動はそうした学びとして有効であると語った。

黒木義成沖縄県那覇市立教育研究所長は、「私自身、学級担任として特別活動をしてきた。教科書がないので、指導者によって考え方も指導法も異なる。子どもに話し合いをさせるにしても、力量のあるなしで全く異なる。力がない教師の特別活動は、子どもにとっては、何をしているのか分からない場合が多い」と指摘した。

平川理恵横浜市立中川西中学校長は、学校現場における問題点として「時間の確保が一番難しい。未来を担う子どもたちがデモクラシーに関して学ぶ場面として、学校で取り組んでいくべき。身近なところからマスメディアで話題になっているテーマまで、多様な話し合いをすべき。時間がないから10分で結論を出しておしまいでは困る。納得するまで徹底的に話し合うのが必要。多数決だけでなく、少数派の意見や、特別な支援を必要とする子どもの意見など、さまざまな声を聞いて話し合わなければ」と話した。

吉村教授は、「教科の知識は表現しやすい。特別活動は、自分と異なる異質な他者が存在し、そういう人たちと一緒に生きていくのを学ぶ。多様性や協調性が大事。教科の知識との質的な違いが教師にも見えるようにすべき」と、学習指導要領の表記では教科との違いが分かる工夫が必要だと強調した。

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