「考えて」では考えられない 思考を促すには?

思考の過程を説明しようと挙手する児童
思考の過程を説明しようと挙手する児童

神奈川県川崎市立東菅小学校(葉倉朋子校長、児童数436人)は1月20日、研究報告会を開催。主題は、「見通しとふり返りに視点をおいた思考力の育成~理科・算数の授業を中心に」。研究発表、公開授業、学年別研究協議、パネルディスカッションを行った。公開授業では、思考を促す手だての工夫があり、児童は、研究テーマにある「見通し」をもって考えを深めていった。

1年2組では、杉山智之教諭による算数科の授業を公開。単元は「どんなしきになるかな」。児童が問題に親しみやすくなる工夫として、教員が考案した「くらべ王」や「くらべひめ」というキャラクターを使用。くらべ王を基準に、比較して考える文章問題に取り組んだ。

場面は、くらべ王がバスを待つ列に並んでいるところ。児童に「くらべ王のまえに5人います。くらべ王のうしろには3人ならんでいます。ぜんぶでなん人いるでしょうか」と問いかけた。

問題文には、分かっている点に赤色、聞かれている点に青色で下線を引く。児童とやり取りをしながら、教諭が黒板に貼った問題文に下線を引いた。

「前に解いた問題と比べてどうですか」と問うと、児童から「前にやった問題と同じ!」と声が上がった。

児童が同じと言った問題は、「くらべ王は、まえから5ばんめにいます。くらべ王のうしろには3人います。ぜんぶでなん人いるでしょうか」というもの。本時は、この「前に5人」と「前から5番目」の違いが焦点となった。

本単元の視点は、▽くらべ王を基準とし、思考の核とする▽「前から」「後ろから」「○番目」「○人」「~より多い(少ない)」などの言葉を手がかりとして思考する▽問題場面をもとに、ブロックや図を式と関係付ける――など。児童は、問題文の言葉、問題中に登場する人数分の「○」を書き出した図、黒板に貼ったブロックなどを通じて、両者の違いを理解し、式を立てるヒントを探した。

教諭と児童で、ときには児童同士で話し合いをしながら、みんなで納得しあって授業を進めた。式を立てた際には、「6+4」「4+6」とそれぞれの結論にたどりついた児童から話を聞き、最後に全員で「5+1+3」の式を立て、理解を深めた。

授業の最後には、記述と口頭発表でふり返りをし、児童自身が、自分や周りの成長を確認した。

同校は、平成26・27年度川崎市教委の研究推進校に指定されている。教育課題は、思考力の育成。そのための手だてを、①既習事項を生かす②比較・関係付けをする③思考を促す話型を活用する――と定義している。

研究の成果として葉倉校長は、教員の児童に対する問いかけの変化を挙げる。既習内容との関係付けや、比較を促すようになったという。

その結果、児童は、「前に学習した○○の考えが使えそう」「図やブロックを使うとできそう」と、課題解決に向けた見通しが立てられるようになってきた。分からないから諦めるのではなく、既習内容を軸に挑戦してみる態度に変容したという。

パネルディスカッションでは、児童に「考えてごらん」「発表してごらん」と投げかけて放っておいてはいけない。どう考えるのかを指導し、「○○という結果から、○○といえる」などの根拠を明確にした話型の活用を促せば、多くの児童が自分の考えをまとめて発表できるようになる、などと語られた。

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