予算もノウハウもない 新教科「数理探究」の現実

数理探究の理想と現実について議論した
数理探究の理想と現実について議論した

中教審初等中等教育分科会教育課程部会は1月21日、高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームの第2回会合を文科省で開いた。新教科となる数理探究(仮称)について、「理想だけでなく現実を考えないと」「フィールドが広すぎると深さが出ない」「目標をあまり高いところに置かないほうがいい」などと、現実的な議論が交わされた。

数理探究は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の取り組みを踏まえて、生徒の興味や進路に応じて、徹底的に科学的なテーマに向き合い考え抜く力を育成するために、設置の検討が求められている。挑戦性、数学的・科学的なものの見方や考え方を合わせた総合性、融合性、国際性などの観点から、カリキュラム構造を考えていく方針。

今会合では、事務局から、SSHの成果に関する調査結果が発表された。

生徒対象の意識調査では、学習全般や理科・数学に対する興味、姿勢、能力が向上したと感じている人が多いのが明らかになった。SSHの卒業生のうち、大学2・3年生が回答した調査結果によると、大学院への進学希望率が高いのが分かった。その割合は、一般学生の希望率の2倍以上であり、SSHの経験が大学院進学に対してポジティブな影響を与えている可能性が高いとした。

SSHの取り組みを踏まえて検討する点について、千葉県立佐倉高校長の小玉秀史主査代理は、「SSHは、地域の学力が高い生徒が集まるトップ校なのが現状。新教科の検討に当たり、SSHの実践が参考にならない場合がある」と、議論の冒頭で注意を喚起した。

数理探究は、数学を積極的に活用する態度を育てる「数学活用」や、科学的に探究する能力を育てる「理科課題研究」と類似性が高い。ただ、両科目は開設率が非常に低い。原因として考えられるのは、▽入試科目ではない▽教員1人で生徒40人に課題研究を指導するのは困難▽設備不足▽課題研究を行うだけのカリキュラムの余裕がない▽指導のノウハウが確立していない――など。

これらについて委員からは、「高校の教員が最先端の研究を指導するのは不可能。だから大学や企業に頼る」「本気で研究をするにはインターネット環境の整備が必須だが、予算がない」「理科の課題はあるが、数学の課題はなかなか見つからない。数学を前面に出した、数理探究の骨組みをつくる必要がある」などの指摘が相次いだ。

数理探究を入試科目にする点については、「どのような問題を作るのか。それによっては探究がどこかにいってしまう」「どう採点するのか」などの懸念を表明する委員が複数いた。

開設率の問題には、「数理探究を採用してもらうには、まず教員に、この教科を面白そうだと思ってもらわないといけない。自校の生徒に必要だと思ってもらえるような教科にしないと」と訴えた。

新教科を検討するにあたり、事務局は、「新しい教科として成立させるには、崇高な理念が必要」とした。委員からは、教科として必要な知識や技能、教科の普及などについての議題が挙がっている。

次回は3月1日開催予定で、それらの議題について議論される見込み。

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