授業を送信しその場で手話に 進む韓国の支援教育

インクルーシブ教育システムについて、(独)国立特別支援教育総合研究所は1月21日、東京都千代田区の学術総合センターで国際シンポジウムを開いた。韓国・国立特殊教育院のキム・スクジン氏が、自国のインクルーシブ教育について報告した。カメラとマイクでとった授業を支援センターに送信すると、手話や速記に変換してリアルタイムで児童生徒に配信されるシステムなどについて語った。

同国では07年に「障害者差別禁止及び権利救済に関する法律」が制定されている。翌年、国連障害者権利条約を批准。教育に関しては、07年に「障害者等に対する特殊教育法」が成立し、翌年から全面実施されている。

特殊教育の対象となる障害は、視覚、聴覚、知的、肢体、情緒・行動、自閉症、言語、学習、健康、発達障害など。

対象者は、基本的に居住するところから最も近い学校に就学する。個に応じて特殊学校、通常学校の特殊学級、通常学級で教育を受ける。

昨年、初等学校としては、特殊学校に6472人、通常学校の特殊学級に2万991人、通常学級に6128人が在籍した。

通常学校における統合教育は、差別を受けず、同年齢者とともに、個人の教育的要求に適合した教育を受ける。

その際、学校長は対象者の障害の程度や教育活動に応じ、コミュニケーションのための補助機器、情報アクセス機器、教科書、教育設備などを整備する。

特殊学級設置基準は、初等学校、中等学校では対象者が1人から6人までで1学級を設置。超過したら2学級とする。高校は7人までが1学級。

同教育院による実際の教育支援の1つに遠隔学習支援がある。聴覚障害児童生徒に向け、支援センターが手話や文字通訳を提供する。通常の学級で行われる授業をカメラで撮影し、マイクで音声をとってセンターに送信。それを手話や速記に変換し、リアルタイムで児童生徒に配信するシステムになっている。

他の障害についても、ウェブサイトを運営したり、障害に関する写真展を行ったりするなどで、意識啓発に取り組んでいる。
2013年からは、特殊教育のさらなる充実に向けて、第4次特殊教育総合5カ年計画で、4分野11の主要行動指針が実施されている。

具体的施策としては、2012年から17年に向けて、聴覚障害支援センターを全国で4カ所から12カ所に増やす。統合教育研修を修了した一般教員数の累計を3万6927人から18万人へと増やすなどがある。

さらに、昨年の特殊教育運営計画では、年に2回以上、児童生徒向けの障害に関する意識啓発教育の計画策定が義務づけられた。

教職員に対しては、年度初めに障害に関する意識啓発の研究会を開くとされた。統合教育担当教員研究グループの運営が支援され、優れた研究グループの功績は報いられる。

キム氏は、「法的整備が整い、インクルーシブ教育を積極的に進めた。その影響で、以前は特別支援学校に通っていたような障害を持つ子どもが、通常の学校に通っている。今後は、管理職を含め、もっと研修を進めていくのが課題」と現状と今後の展望を話した。

関連記事