いじめ事案で専門家派遣強化 遺族と学校の調整図る

いじめが原因と疑われる自殺などの重大事態について、文科省は来年度から、外部専門家などの派遣を強化する。派遣された専門家などが、学校や教委などと遺族との調整を図る。

重大事態を前後する対応や調査の開示などをめぐっては、遺族と学校、教委との間でトラブルが発生する場合が少なくない。こうした事案の指導・改善に注力する。

文科省はこれまでも、重大事態に際して、職員を教委に派遣し、アンケート内容や開示のタイミングなどについて助言を行ってきた。来年度からは、同省が、指導の必要があると判断すれば、積極的に事案に介入していく。

具体的には、いじめの被害者側と教委・学校などとの関係が悪化しているケースを想定。実態などの把握や、教委・学校の対応について、指導する。

いじめ防止対策推進法が施行されて3年目となるが、いじめが疑われる自殺事案などでは、遺族の要請があれば、学校、教委はアンケートなどの調査の実施や、開示が義務づけられている。だが、個人情報保護の観点から、遺族にアンケート内容を開示しないなどの問題が発生している。

外部人材の活用では、同省が教委に補助金を出す。これには、いじめ事案を解決するために第三者委員会を設置するなどにかかる費用が含まれている。

遺族とのトラブルをめぐっては、鹿児島県出水市の中2女子生徒が平成23年9月に自殺した事案で、いじめの有無を在校生に尋ねたアンケート結果の開示を求めた遺族と、それを拒否した教委が法廷で争った。鹿児島地裁は、生徒個人が特定できる情報を伏せれば開示できると判じ、決定。

昨年10月に発生した沖縄県豊見城市の小4男児自殺事案では、両親が「複数のいじめがあった」と主張したが、市教委は「1回だけ」として、いじめと自殺の関連を否定。

いじめ調査部会が東京都教委に初めて設置された、昨年9月発生の都立高1男子生徒自殺事案では、母親が学校側のアンケートを「表面的なものだった」と批判した。

文科省の担当者は「いじめ事案の実態把握などを積極的に行うために、これまでの職員派遣を強化していく」と語った。

平成26年度に起きた重大事案は450件。内訳は、いじめによる自殺や傷害などが92件、不登校が383件。25件は両方に該当している。

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