持続可能な社会づくりに論議集中 新科目「公共」で

高校新科目「公共」について議論した
高校新科目「公共」について議論した

中教審初等中等教育分科会教育課程部会は1月28日、社会・地理歴史・公民ワーキンググループの第4回会合を、農水省三番町共用会議所で開いた。今会合では、高校公民科新設科目の方向性を検討。新必履修科目(案)の中の「公共(仮称)」について、「たたき台案」の中の「持続可能な社会づくり」に、論議が集まった。

「公共」は、国家・社会の形成者を育成する科目。たたき台案は、(1)「公共」の扉(2)自立した主体として社会に参画し、他者と協働するために(3)持続可能な社会づくりの主体となるために――の3項目で構成されている。

(1)は、子どもが倫理的主体になるのを目指す。その軸は、▽公共的な空間に生きる私たち▽公共的な空間における人間としての在り方生き方。さまざまな立場や文化などを背景に社会が成立しているのを意識し、よりよい集団・社会を作り出していくすべを学ぶ。また行為の結果において、社会的効用としての幸福を重視する考え方、行為の動機となる人間的責務としての公正などを重視する考え方を学ばせる方向。

これについて委員からは「社会の効用だけでなく、個人の効用も加筆してほしい」との意見があった。

(2)は、政治的、経済的、法的、知的主体になるのを目指す。社会を構成する主体となるために、協働が必要な理由、協働を可能とする条件、協働を阻害する要因などについて考察を深める。

(3)は、持続可能な地域、国家、国際社会づくりに向けた役割を担う主体になるのを目指す。個人を起点として、自立と協働の両観点から、今まで受け継がれてきた先人の取り組みや知恵などを踏まえつつ、多様性を尊重する姿勢を育てる。軸は、▽地域の創造▽持続可能な社会▽わが国と国際社会。地域の活性化や安全に配慮したまちづくり、持続可能な社会保障、文化と宗教の多様性、国際平和などを探究する。

委員からは「(2)よりも(3)が大事だが、(2)の記述が長く、(3)の重要性が伝わりにくいたたき台案になっている」「教育現場として公共でやりたいのは(3)。その論議を深めていく必要がある」など、同様の趣旨の発言が相次いだ。

また「グローバル化を意識した、もっと大きな目標を」「世界と日本を対峙させる時代は終わった。世界の中の日本として考えて」との意見が出た。「入試科目にならないのであれば、学校も生徒も保護者も、じっくり取り組む余裕がない。何らかの形で進路に関わるものを盛り込んだり、大学で役に立つ内容を盛り込んだりするのは避けられないのではないか」との指摘もあった。

意見が集中した(2)と(3)の関連について、京都大学大学院法学研究科教授の土井真一主査は、「野球にはルールがあり、ゲームがある。政治にもルールがあり、アクティビティがある。従来はルール(制度)を中心に教えてきて、ほとんどゲームをさせていない。そこに問題があったのではないかという指摘はその通り。ただ、ルールを全く教えずにプレーできるのか」と語り、(2)の必要性を説いた。中学校でも公民的分野で同様の学習をするため、中学校と高校とで、どのような仕分けをしていくかを課題とした。

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