科学的アプローチで いじめなどの問題解決の道探る

研究者と教員らが活発に意見を交換した
研究者と教員らが活発に意見を交換した

不登校やいじめなどの原因を科学的に解明しようと、文科省委託事業「子どもみんなプロジェクト」が、平成27年度から始動している。そのキックオフシンポジウムが1月30日、省内で開かれ、認知行動生理学などの研究者や教員らが、児童生徒の諸課題について意見を交わした。会場には教員などの教育関係者ら約250人が来場した。

シンポジウムでは、「子どもの発達を支えるために~教育現場で見せる子どもの様々な行動を、多面的に考える~」をテーマに話し合われた。シンポジストは、教育現場を代表して猿渡正利元公立学校校長、長谷川博之埼玉県秩父市立尾田蒔中学校教諭、内藤敏也千葉県教育長。研究者として河合優年武庫川女子大学教授と清水栄司千葉大学教授。

はじめに猿渡氏は、校長を務めた中学校で、成績優秀で部活動のリーダーを務める生徒が、突然不登校になったケースを例に「こういった生徒をきちんと見守る必要がある」と訴え、問題行動対応や早期対応、未然防止の必要性を説いた。

長谷川教諭は、エビデンスに基づいた指導が重要だと語った。そのためには、個人だけでなく、組織としてやっていくべきだと呼びかけた。

内藤教育長は、脳科学や精神医学、心理学の知見の活用によって「教育課題に対応するためのチャンネルが増える」と考えを示した。

研究者からは、清水教授が「不安を感じるような病気は、子どもの発達段階に多い」と分析。さらに「予防教育を学校で実施していく必要がある」と強調した。

河合教授は児童生徒に関する心理テスト「Q-U」について「心の体温計のように使ってもらいたい」とし、それによって児童生徒の課題が見え、教員の負担が解消できるのではないかと力説した。

子どもみんなプロジェクトは、文科省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する調査研究協力者会議」の提言に沿って実施されている。科学的なアプローチから児童生徒の問題行動を解明し、教育現場にフィードバックするのがねらい。

大阪大学をはじめとする9大学を中心に、一部の教委と連携して展開している。

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