全教員に日本語指導力が必要 外国人児童生徒を支援

日本語指導の現状についてヒアリングした
日本語指導の現状についてヒアリングした

文科省は2月1日、学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議の第3回会合を、中央合同庁舎第4号館で開いた。日本語指導に携わる教員・支援員の養成や確保、指導内容の改善・充実についてヒアリングを実施。「全教員が日本語指導をできるようにするべき」との見解が語られた。

東京学芸大学国際教育センター准教授の菅原雅枝委員は、現職向けの研修について発表した。

主な研修会のパターンは2つ。同センターがプログラムを組み、同学で年に3回開催するJSL研修会と、もう1つは、教委との共催で、その教委の要望を受けて同センターが構成したプログラムを行うサテライトセミナーがある。

JSL研修会参加者のニーズは近年、教科指導から日本語指導に移ってきており、初期指導を教員が担当するケースの増加が背景にあると推測される。担当経験が短い教員の参加も増え、かつてはスキルアップの場だった研修が、基本情報提供の場になっている面もあるという。

同センターの研修は、誰でも参加可能。教委主催の研修では、「教員向け」「指導員向け」などの参加資格が設けられている場合が多く、そこから漏れた人材を受け入れている。文科省の中央研修もあるが、現職の教員の場合、指導者コースを受ける4日間、学校の日本語指導を引き受ける人がいないと参加は難しい。同センターの研修は、中央研修を受けたくても受けられない教員の受け皿になっている。

愛知県岩倉市は、指導内容の改善・充実についての実践を発表した。

同市は、面積的が狭く、小・中学校数が少ない。それを生かして、市内全ての小・中学校で同じ教育に取り組んでいる。小学校から中学校へ、課題の到達度評価も円滑に伝わる。岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室の村瀬英昭室長は、「小中連携というより、小中一体」と表現する。

児童生徒の課題についての評価を保護者に伝えやすくするため、5言語に対応した評価表を作成。グラフの色分けなども駆使して、伝わりやすさを追求した。

村瀬室長は「教科指導を通した日本語指導が必要」と力説。同市ではきめ細かな指導カリキュラムを用意している。「指導項目関連一覧表」を作成し、ある学年・教科・単元でつまずいた場合に、どこまで戻って指導すればいいかの指針も整えている。

外国人児童生徒の下学年への編入については警鐘を鳴らす。「最初はいいが、じきに学校に行きたがらなくなる」として、その精神的ケアを課題にあげた。多文化共生の意識で、外国人児童生徒だけではなく、日本人児童生徒も幸せになれる教育が理想だと訴えた。

これらの発表を受け、委員が議論。(公社)日本語教育学会会長の伊藤祐郎副座長は、「学校は、教科を学ぶところと考えれば、全ての教科の教員が日本語指導の力を持つ必要がある」と言及した。愛知県豊橋市長の佐原光一委員は、「大学入試では外国語の入試が許されているのに、高校入試ではなぜ得意な言語で受験できないのか。学びたがっている子もいる」と、高校入試の仕組みについても問題を投げかけた。

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